Go Toトラベル見直し「一部地域除外含め」早急に検討を 人の移動「感染拡大に影響」―コロナ分科会が提言
政府は20日、有識者らによる新型コロナウイルス対策分科会(会長・尾身茂地域医療機能推進機構理事長)を開催した。その後、尾身会長が記者会見し、「一般的に人々の移動が感染拡大に影響すると考えられる。人々に更なる行動変容を要請する一方で、『Go Toトラベル事業』の運用をこれまで通りに継続することに対し、人々からは期待と懸念の双方の声が示されている」と述べ、政府に対してGo Toトラベル事業の運用のあり方を「早急に検討」するよう提言した。 【動画】コロナ分科会、「GoTo」見直し提言 西村大臣と尾身会長が会見
尾身会長は会見冒頭、「Go Toキャンペーン事業を行う経済的意義、目的は多くの人々は理解している」と指摘。「Go Toトラベル事業が感染拡大の主要な原因とのエビデンス(根拠)は現在のところ存在しない」としながらも、「同時期に他の提言との整合性をとれた施策を行うことで人々の納得と協力を得られ、感染の早期の鎮静化につながり、結果的には経済的なダメージも少なくなると思う」と語った。
いくつかの都道府県「早晩にステージ3相当も」
分科会はこれまで、(1)病床のひっ迫具合(2)療養者数(3)PCR陽性率(4)新規報告数(5)直近1週間と前の1週間の比較(6)感染経路不明割合――の6つの指標を基に、各都道府県の感染状況と医療提供体制の深刻度を図る“目安”を提示してきた。最も深刻度の低いレベル1から、緊急事態宣言を再発令する状況であるレベル4まであり、どのレベルに位置するかは各知事が判断することとなっている。 尾身会長は会見で、現在の感染拡大状況を打開するには「個人の努力に頼るだけではなく、今までより強い対応」が求められると説明。「政府も分科会も、都道府県がステージ3相当と判断した場合には、当該都道府県をGo Toトラベル事業から除外することも検討するとしてきた。現在の感染状況を考えれば、いくつかの都道府県でステージ3相当と判断せざるを得ない状況に、早晩至る可能性が高いとわれわれは判断している」と述べ、厳しい状況の地域が複数あるとの認識を示した。質疑で具体的な都道府県名を問われると「専門家としての個人的な意見」と前置きしたうえで「北海道の札幌はステージ3に入っているんじゃないか。東京や大阪などはステージ3に近づきつつある」と言及した。 そして、「こうした感染拡大地域では、知事の判断を踏まえ、一部地域の除外を含め、国としてGo Toトラベル事業の運用の在り方について早急に検討していただきたい。感染拡大の早期の沈静化と人々の健康のための政府の英断を心からお願い申し上げる」とした。
Go Toトラベル事業とは?
「Go Toトラベル」キャンペーンは、コロナ禍で落ち込んだ観光需要を喚起するための政府の施策で、感染者が多かった東京都内への旅行と都内在住者による旅行を除き7月下旬から開始した。東京都は10月1日から対象内となったが、東京都医師会の尾崎治夫会長はその後から全国の感染者が増加したと指摘し、同キャンペーンを一時的に中断するよう求めていた。