木村花さん出演「テラハ」打ち切りはわずか4行のサイト発表…なぜフジは制作中止理由と経緯、再発防止へ検証の必要性を記者会見を開き明らかにしなかったのか?
今回の悲しい出来事の背景には、2つの社会的な問題がある。一つは、野放し状態になっているSNSの問題。これに対しては、法規制の議論が高まっていて、高市早苗総務相は26日の記者会見で、発信者の情報開示を簡素化するなどの制度改正も含めて対応する考えを明らかにしている。 もう一つは、SNSを炎上させ、誹謗中傷が集まるきっかけを作った番組制作サイドの問題と責任。この2つは切り離して考えなければならない。 「テラスハウス」は、フジテレビと番組制作会社「イースト・エンタテインメント」が制作、2012年からスタートしたリアリティ番組で、シェアハウスに見知らぬ男女が集まり共同生活を始める姿を追いかけた「台本のない恋愛ドラマ」が売り。深夜の時間帯だったが若い視聴者に支持されて、好視聴率を稼ぎ、参加メンバーと場所を変えて、その後、映画化、シリーズ化された。 木村花さんが出演していた「TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020」は、昨年5月から定額制動画配信メディア「ネットフリックス」で先行配信され、6月からフジテレビのネット「FOD」で配信、7月からは地上波放送されていた。 木村花さんは、9月に入居、「ネットフリックス」では5月19日に42話まで配信、フジテレビは5月18日の38話まで放送していた。だが、木村花さんの訃報を受け「ネットフリックス」が5月26日に配信予定していた第43話とフジテレビが25日に放送予定だった第39話の配信及び放送を休止としていた。 繰り返すが同番組は「台本のないリアリティ」を売りにしていた。台本の「ある、なし」や、過剰な演出の「ある、なし」については、一部のメディアが内情を暴露しているが、その真偽はともかく撮影した映像の編集の仕方で、視聴者にどう受け取られるかを左右できることは事実だろう。 結果として木村花さんが「悪役」を演じることとなり、SNS上で誹謗中傷を浴びる発端となった。 SNS上の広がりを番組の視聴率につなげていくプロモーション手法は、今や多くの番組で主流となっているが、もし”SNS炎上”を意図的に狙うような編集、あるいは、”炎上”の可能性が予知されたのにもかかわらず、なんの配慮も、対策もないまま”過激な編集”がなされていたとすれば問題である。 悲劇を繰り返さないためには、番組制作の現場で何が行われていたか、をことこまかに検証、総括する必要がある。