誰よりもコートに立ち続けた渡邊雄太「自分たちの戦いぶりが本当に誇らしい」
■4点プレーを許した場面も「誰かを責めたりはしません」
7月31日(現地時間30日、日付は以下同)に臨んだフランス代表とのパリオリンピックのグループB予選ラウンド第2戦。日本代表は24得点を挙げた八村塁が第4クォーター序盤に退場するなか、河村勇輝が奮起して接戦に持ち込んだ。 第4クォーター残り16秒。日本は河村が2本のフリースローを着実に決め、4点のリードを手にしていたのだが、タイムアウト明けのプレーでフランスはマシュー・ストラゼルが左ウイングから3ポイントシュートを成功。 河村のファウルで獲得したフリースロー1本も沈めたことで、21歳のポイントガードが4ポイントプレーで延長へ持ち込んだ。その後ビクター・ウェンバンヤマがステップアップしたフランスが94-90で大激戦を制し、2勝0敗で予選ラウンド突破を決めた。 河村が29得点7リバウンド6アシスト、ジョシュ・ホーキンソンが16得点8リバウンドを残すなか、渡邊雄太はフィールドゴール成功率25.0パーセント(1/4)の計5得点に8リバウンド1アシスト2スティールを記録。 得点面こそ低かったものの、両チーム最多の40分44秒もコートに立ち、ディフェンス面でマッチアップ相手だけでなくチームメートたちのヘルプに入るなど献身的な仕事をこなし、ノーファウルで乗り切った。 フランスとの激戦を終えた29歳のフォワードは、この一戦を『BasketNews.com』へこう語っていた。 「僕らはすごくいいプレーをしていましたし、40分間に渡って本当に一生懸命戦いました。自分たちの戦いぶりが本当に誇らしいですし、諦めることはありませんでした。相手が何度かランを仕掛けてきましたけど、僕らは下を向くことなく、戦い続けました」 「彼ら(フランス)は終盤の重要な場面でいくつか素晴らしいプレーを決めましたが、僕らはショットを決め切れませんでした。ですが僕は自分たちのこと、僕らの戦い方を誇りに思います。2日後にはまた試合があるので、休養を挟んで次戦へ向けて準備していきます」 日本は予選ラウンドを0勝2敗としたものの、まだパリオリンピックベスト8への道が途絶えたわけではない。そのためにも、8月2日のブラジル代表戦はマスト・ウィン・ゲームとなる。 第4クォーター終盤の4点リードしていた場面。日本はそれを死守できていれば勝利していた。「もちろん、(あの場面で)ファウルしたくはなかった。ですけど、僕のチームメートはいい仕事をしたと思っています。なので誰かを責めたりはしません」と渡邊は切り出し、さらにこう口にしていた。 「相手が最高のプレーをしたということ。彼らは東京オリンピックで銀メダルを勝ち取ったチーム。世界でもベストチームの1つです。なので彼らが見事なプレーをいくつか決めたんです。ですけど、僕のチームメートはディフェンスでいい仕事をしてくれたと思います」 ウェンバンヤマ、ルディ・ゴベア、ニコラ・バトゥーム、エバン・フォーニエなど多くのNBA選手を擁するチーム相手に、日本は終始1ケタ点差の好勝負に持ち込んだ。 敗れたとはいえ、日本がこの試合で世界中に“しぶといチーム”だと見せつけることはできたのではないだろうか。その象徴とも言える渡邊は、日本のプレースタイルについて同メディアへこう話していた。 「何があろうと関係なく、僕らはハードにプレーします。今日はものすごく疲れましたし、自分がどれだけ多く出場したのかも分かりません。ふくらはぎのケガから戻って、練習をたくさんしてはいませんでした。ですけど僕はあそこに立ちたかった。言い訳を見つけることはしたくありませんでした。チームメートたちと一緒に40分間戦いたかったんです」 渡邊がパリ五輪で攻防両面において見せたプレーの数々は、深夜ではあったものの、画面越しからでも多くの人々の感情を揺さぶったのではないだろうか。日本が誇るハードワーカーには、ブラジル戦でも熱のこもったプレーを期待したい。
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