東京五輪最終テストで豪州に勝利のなでしこジャパンのメダル可能性は?…「10番」岩渕真奈が感じた収穫と課題
カナダはロンドン、リオデジャネイロ両五輪の銅メダリストであり、イングランドとの通算対戦成績では1勝2分け5敗と圧倒されている。グループ3位でも準々決勝へ進出できる可能性はあるが、その場合の対戦相手はまず間違いなく五輪で4個の金メダルを獲得し、ワールドカップも連覇中の最強軍団・アメリカ女子代表となる。 上位進出を果たすためにも早い段階でのアメリカ戦は避けたいし、そのためには特にカナダとの初戦がより大きな比重を占める。高倉監督をして「彼女がチームの浮き沈みを背負って立つぐらいの気迫で、グラウンドで躍動してくれることを強く期待している」と言わしめた岩渕は、背中越しに感じる重みを認めながら決意を新たにした。 「特別な番号であることは間違いないので、意識しないようにと意識していて、それでも大勢の方に言われて少しずつ意識しちゃっていたんですけど…自分自身のプレーには満足していないけれども、結果に関してはいいスタートが切れたのかなと思っています」 16日からは練習会場やメニューも含めて、いよいよ五輪本番モードに突入する。最後の実戦で得た個人的な収穫が志願してのPK成功ならば、課題は運動量が上がらずに相手の後塵を拝し続け、攻撃全体を淡泊にしてしまった点となる。岩渕が再び前を見すえる。 「今日以上にコンディションを上げていって、チームに貢献できるように。いろいろな責任を背負ってチームを引っ張っていって、最後に笑顔で終われるようにしたい」 空調が効く札幌ドームでは、相手も快適にプレーできるだろう。勝敗のカギはいかに相手の攻撃を防ぎ、相手の守備網に風穴を開けられるかにかかってくる。後者を託される岩渕は苦境になるほど輝きを増し、澤さんが残した伝説のひと言のように、周囲に「苦しい時は私の背中を見て」と伝えられる存在感を放たなければいけない。 (文責・藤江直人/スポーツライター)