ダマされたら、誰も助けてくれない…老後資金を作るには「投資しかない」という大ウソ
「投資するしかない」は本当?
物価が上昇するのに、それに見合った賃金の上昇が見られなくなって、すでに2年が経ちました。 それだけに、老後のことを考えると不安でしかないという人は多いことでしょう。こうした不安につけ込んで、官民一体で「投資」を勧めているのですから、なおさら不安になるのも仕方ありません。 3.5%という数字はともかく、今後も物価が上がる危険はあります。それに見合うだけ賃金が上がるかどうかはわかりません。賃金が多少上がっても社会保険などの負担が増えれば可処分所得は更に減ってしまうこともありえます。 だからと言って、「投資をするしかない」、と考えるのは早計です。 少なくとも投資するなら不安に煽られてするのではなく、充分な知識を身につけ、投資をすれば儲かると確信を持てた段階で取りかかるべきなのは言うまでもありません。 では、今は投資をするのに適したタイミングなのでしょうか。私はそうではないと思っています。 まず、物価は上がっても、これから更に株や不動産が上がるという根拠はありません。
不動産はどうか
確かにここ数年株価は大きく上昇しました。でも、それは円安で一部の輸出企業が見せかけの利益が大きくなったことや、円安が進んで海外投資家から見た日本の株価がバーゲンセール状態になったために買いが入ったことが大きいのです。 しかし今まで日本株を買っていた日銀が買わなくなり、アメリカがインフレ抑制で金利を下げ為替が円高に振れる可能性がもあり、日本株のバリューが相対的に「お買い得」ではなくなる可能性もあります。 不動産はどうでしょう。 インフレはものの値段が上がること。不動産も実物資産だから値上がりするといった解説をしばしば見かけます。しかし、金利が上がれば不動産を取得するコストが上昇しますから、買い意欲は減退します。 低金利を背景に東京都心のマンションなどは億ションになっていますが、人が住んでいない投資用物件も多いわけです。こうした物件は、税金の関係で5年経つと売りに出されます。つまり、限られた人が投資で買っているのであって、一般の消費層が勝っているわけではありません、したがって、値下がりリスクも大きいのです。 事実、東京証券取引所に上場している不動産投資信託(REIT)全銘柄の値動きを示すREIT指数は、インフレにもかかわらず過去2年間右肩下がり状態です。 ちなみに、バブルの頃は株や不動産は上がったのですが、物価はそれほど上がっていません。