「基準下げず」「仕事量上げる」 今年の早明戦、代表経験者が両校に
今年の早明両校には、ラグビー日本代表を経験した選手がいる。 若手を積極的に起用するエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)のもと、「飛び級」を果たした。 【写真】「早明戦」残り3分の悪夢が導く人生訓 53歳の今も悔いはあるけど 若くしてトップレベルの選手たちの間でもまれた彼らは、その経験を母校の勝利につなげようとしている。 早稲田大では、4年のFW佐藤健次(21)と2年のFB矢崎由高(20)が日本代表に選ばれた。特に矢崎は、第2次ジョーンズ体制で主軸を務める。 今年6月の合宿に練習生として参加すると、評価を高めた。同月のイングランド戦で先発し、重用されるようになった。 10月のオールブラックス戦でも先発。後半には、抜け出してトライまであとわずかという場面を作った。 ただ、試合後の矢崎に満足した様子はなかった。「(トライを)取り切れないのが自分の現状」。19―64で大敗したことを受け止め「スコアボードを見て世界との差を感じた」と悔しさをにじませた。 11月からは早大に復帰。厳しいマークにあいながらも、慶応大戦では鋭いステップで見せ場を作り、1トライを決めた。 「代表にいる間に上がったスタンダード(基準)を下げずに、国際試合で通用するための過ごし方を続けたい」と語り、早明戦に向けては「明治は最高の準備をしてくるはず。それに負けないようにしたい」。 明治大2年のWTB海老沢琥珀(こはく)(20)は、今年8月から日本代表に選ばれた。まだ代表としての試合出場はないが、得られた刺激は大きいという。 特に印象に残ったのが、同じポジションのWTB長田智希(25)=埼玉パナソニックワイルドナイツ=の姿だ。 宮崎合宿中のオフのある日、声をかけられた。「パス練しない?」。空いている時間が合わず自主練に付き合うことはできなかったが、常にラグビーのことを考えている意識の高さを感じた。 試合中の動きを見ていても、長田のすごさを感じた。一度プレーに関わったと思ったら、またすぐに動き直して別の場所でボールに絡む。「ワークレート(仕事量)をもっと上げないと」と思わされた。 もともと、代表は「届かない場所だと思っていた」。ただ、招集されてともに練習してみると、自分のプレーが通用する場面もあった。いまは「出られるなら2027年のワールドカップに出たい」と目標を上方修正する。 昨季出場した早明戦は「見ている人も『絶対に早稲田に負けるな』という思いが強い。自分たちだけの試合じゃない」と感じた。「去年は先輩に引っ張ってもらったが、今年は僕が引っ張りたい」と意気込み、100回目の大一番に向かう。(藤野隆晃)
朝日新聞社