「色々あるけど欲しいものがないヴィレヴァン」と「自分のための場所と感じるタワレコ」…巨大カルチャー企業の明暗を分けた「本質的な差」とは?
確かにそこには英語の看板が立ち並び、働いている人は英語ばかりを使うし、日本であって日本でないような光景がニセコには広がっている。 観光地と商業施設ではさまざまな条件が異なるかもしれない。しかし、好みが多様化し、ネットを通じて個々人の好みに合うものを比較検討することが容易になった現在、それぞれの層の趣味嗜好に徹底的にマッチするような場所が求められていることは自然な流れであろう。 その点でも、ニセコとタワレコはこの「選択と集中」が求められる現代社会にマッチしているといえるのだ。令和の観光ビジネスを考えるうえでは、もはや必修科目と言えるだろう。
本記事では、タワレコとヴィレヴァンを比較しながら論を進めてきたが、タワレコは「選択と集中」を進めて復活した。であれば、同じようにカルチャーを扱うヴィレヴァンもまだ再興の余地はあるはずだ。 まずは、その主要顧客をどこに置いて「選択と集中」を進めるのか。そこから考える必要があるのではないだろうか。
谷頭 和希 :都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家