進む「生成AIと家電の融合」欧州最大のエレクトロニクスショーで見た最先端
9月上旬にドイツの首都ベルリンで世界最大規模のエレクトロニクスショー「IFA 2024」が開催された。1924年の初開催から100年の節目を迎えたイベントは世界各国から1800社以上の出展と、21万5000人を超える来場者数を記録した。 【画像】IFA ManagementのCEO、ライフ・リントナー氏 今年も筆者はIFAに参加する大手メーカーの展示を現地に出かけて取材した。イベントを主催するIFA Managementのライフ・リントナーCEOにも、欧州のテクノロジーやスタートアップの最新事情を聞くことができた。 ■欧州「家電とAI」の最新事情がIFAに集まった 今年、IFAの展示会場は「AI」一色に染まった。IFAは地元ドイツの一般来場者もチケットを購入して遊びにくるコンシューマーエレクトロニクスの祭典でもある。ゆえに出展するメーカーのAIに関連する展示内容は先端技術によるコンセプトよりも、消費者の生活に近く、ユーザーメリットの提案を具体的に示すものが多い。 日本人にとってシーメンスといえば産業向けエレクトロニクス機器のメーカーというイメージの方が強いかもしれない。欧州では冷蔵庫や洗濯機などコンシューマー向けの商品も手がける人気の総合家電メーカーだ。 そのシーメンスは今年、AIが調理を全面的にサポートするオーブンを商品化した。ユーザーが容器に食材を入れてメニューを選択すると、AIが最適な火加減や調理時間を自動でコース設定する。 現在は中国のハイアール傘下のブランドになったイタリアのキャンディは、スマートフォンで撮影した洗濯物の写真をAIが解析して、生地の素材に合わせたコースを選んでくれるスマート洗濯機を発売している。 欧州ではシステムキッチンや家具に組み込んで設置するビルトインタイプの生活家電がポピュラーだ。衣類は冷たい水ではなく温かい湯で洗濯する。そしてプレミアムクラスの洗濯機は乾燥機と別筐体である方が好まれる。冷蔵庫はドアの表側に製氷機を配置する製品も多い。つまり、ホームアプライアンスとも呼ばれる白物家電の進化には、テレビやオーディオに比べてさらに色濃くその地域の生活習慣や文化が反映され、そこに独特なAIの進化が芽を吹くおもしろさがある。