選手のためにも、誹謗中傷と闘う準備をしていかなきゃいけない――田嶋幸三・JFA前会長の8年、そしてこれから #ニュースその後
「この年までサッカー界、しかも中枢に関わることができたっていうのは、この上もない幸せですし、本当に運がよかったと思います」 こう語るのは、2016年3月に日本サッカー協会(JFA)の会長に就任し、今年3月まで実に4期8年を務め上げた田嶋幸三(66)だ。2022年のカタールW杯ではドイツ、スペインという強豪国を撃破するなど、着実に進化しているように見える日本サッカー。日本代表の成績次第で批判や誹謗中傷を受けるなど、矢面に立つことも多かった田嶋に、「激動」の8年間を振り返ってもらった。(撮影:殿村誠士/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
誹謗中傷にさらされ続けた8年間
先ごろ閉幕したパリ五輪でも物議を醸した、選手や競技関係者への誹謗中傷。田嶋の在職期間も、メディアからの批判のみならず、匿名によるネット上の誹謗中傷を一身に受けた8年間だった。 「もう誹謗中傷ばっかりだから、あんまり見ないようにはしています。でも、どうしても漏れ伝わってきますからね。誹謗中傷を受けるのも自分の仕事だと思って我慢していた時期もありますが、殺人予告のようなものまできて、家族にも心配や迷惑をかけたと思います。やっぱり選手たちのことを考えると、そういうことに対して闘う準備をしていかなきゃいけないですね」
「でも、ありがたいことにこの8年間で、2023年のU-20アルゼンチンW杯以外の全ての(世代別を含む)世界大会で男女ともグループステージを突破しています。私が子どものころには全く考えられなかったこと。本当に世界で戦える底上げができてきたんだなと。技術委員会も含めて感謝しかないです」 あえて8年間の自身の成果に点数をつけるとすれば……。 「及第点は取っているだろうなと思いたい。女子のW杯でもベスト8、そして男子もW杯で2大会連続でベスト16まで行ったことを考えれば、75点でしょうか。うーん、80点には届かないですかね(笑)。ともあれこの8年間、ずっと、針のむしろのような日々だったたわけで、だからといって、すぐに羽を伸ばせるわけじゃないけれど、ちょっとゆっくりしたいですね」