帰ってきた軽二輪レトロ! カワサキ新型「W230」「メグロS1」試乗インプレ
ただ、このエンジンには試乗してみてからのほうが驚かされた。KLX230系がベースということからショートストローク気味の設定(67.0×66.0mm)であり、エストレヤがロングストローク設定(66.0×73.0mm)なことを考えれば同じようなトコトコ感の再現は難しいはず。しかし、開発者によればそもそもエストレヤを目指していなかったという。 エンジンを始動してみるとすぐにその意味がわかる。エストレヤの『トントントン』というアイドリング音に比べると、W230&メグロS1のエンジンはコロコロと軽やかだ。軽くブリッピングすると回転上昇は滑らかな中に程よいラグ(反応遅れ)があり、ライダーの感性によく馴染むものだ。 少し暖機したあともアイドリングはタコメーター目視で2000rpmを超えているが、もっと暖まれば下がっていくだろうと思いながらゆっくりと走り出す。クラッチ操作は最近のアシスト&スリッパークラッチ採用車ほど軽くはないが、それでも十分に扱いやすい部類だ。 コロコロとしたサウンドの印象通り一発一発の蹴り出し感を強調してくるエンジンではないが、低回転から粘り強くエンジンストールの心配は皆無。同日に乗ったKLX230シリーズよりも明らかに低速トルクが厚くなっており、232ccしかない空冷単気筒ことを考えれば力強いと表現して差し支えないだろう。 さらに各ギヤを使ってしっかり加速しながら高回転まで回してみると、高回転側ではエストレヤにない軽やかな弾け感があった。それでいて、KLX230比でクランクマスを増量したというエンジンは軽やかさの中にも力強さと絶妙なラグがあり、扱いやすく気持ちいい。 ──エンジンの回転上限は約9000rpmだといい、テストコースではメーター読み118~119km/hでレブリミッターが作動した。ほぼ同じ速度でKLX230シェルパのレブリミッターが作動(約10000rpm)したことを考えれば、全体にかなりハイギヤードな設定であることがわかる。ちなみに1次減速比と1~6速のギヤ比はKLX230シリーズと同じで、2次減速比のみ3.214に変更されている(KLX230は2.714)。高速道路で気持ちよく巡行できるのは80~100km/hだが、バランサーのおかげで振動は少なく、回し続けても苦にならない。