地球外生命を探して -太陽系の“三大名所“をめぐる 3.タイタン
谷:なるほど。タイタンと同じ環境を先生の研究室の中でも再現してやると、生命の材料になったり、生命が作ったりしたような有機物っていうのができてくるっていうことですね。はい。それでは、これでタイタンをまとめていただきましょうか。三大名所の3つ目、タイタンでした。どんな星かっていいますと。 関根:はい。まず最初の火星は、地球に似た環境かもしれない。エンケラドゥスは海が地中にあった。タイタンは何かっていうと、地球に似ているんですよね。風景はもう限りなく地球に似ているんですけど、ただそれを作っている物質が違う。地球の水の役割をしているのは、タイタンではメタンです。地球の岩石の大地の代わりに、タイタンには氷の大地がある。そういう物質は違うけれども、地球と同じような現象が起きているのがタイタンです。 そういうことを称してわれわれは、生きている天体と呼ぶわけです。実際にそういうところで、高分子の有機物が実際に合成されているということも探査によって分かっているので、そういう中で、自然発生的に大きな分子、生命に近いような分子までできているんじゃないかなというのがタイタンの魅力的なところですね。 谷:マイナスを百何十度、180度ぐらいっていうとっても冷たいところですけれども、なんか、私たちが思っているのとはまた全然違う生命がいるのかもしれないですね。 ではここで、三大名所、3つとも見終わったところでちょっと復習をしてみたいと思います。今日は、生命を探す、地球外生命体を探すということでしたけれども、生命探しって水探しのようなものだったのかなというふうに、振り返ってみて思うんですけども、いかがでしょうか。
関根:そうですね。われわれ研究者も、1970年代、80年代のころは、とにかく生命といえば水だということで水を探していたわけです。ただ、なかなか今の太陽系に液体の水が存在しない。つまり太陽から地球よりもちょっと内側に入ると熱すぎて、水が蒸発してしまうわけです。で、ちょっと遠くに行くと、太陽から離れると、熱が少なくて凍ってしまう。今の火星みたいになってしまう。で、それなのですごく、液体の水が存在できる太陽からの距離、ある種のゾーンというのは狭いんじゃないかなというふうに思われていました。 ただ、最近の探査では太陽の光だけじゃないエネルギー源、つまり地熱によって、液体の海を維持するようなエンケラドゥスみたいな天体が見付かったり、あるいは水だけにこだわる必要はなくて、メタンみたいな別の液体を考えれば、タイタンのような、地球のきょうだいみたいな、海を持つ惑星、衛星も存在するっていうことが分かってきて、宇宙に生命を探す可能性っていうのはすごく広がってきたというのが、最近の研究の流れです。 谷:なるほど。本当に宇宙で生命を考えると、本当にいろんな可能性があって、私たちの生命観とかっていうのも大きくなんか、変わってくるような感じもしてきます。 それではここで3つを見てきたので、皆さんにちょっと聞いてみたいです。せっかくなので。はい。今日、太陽系三大名所をめぐってきました。それでは皆さん、良かったら挙手をして答えていただきたいんですけれども。では、ここからは関根先生にちょっと、皆さんに聞いてもらいたいと思いますけれども、1つ目からいきましょうか。