「ガンダムシリーズ」は生涯いくら稼いだ? 今1番熱い…バンダイナムコの経営の凄さ
【図解】ガンダムIPが稼いだ「金額の内訳」
ガンダムが生み出した経済圏は45年の歴史をたどると2.2兆円にもなる。直近では毎年1,500億円規模に届き、『ドラゴンボール』『ONE PIECE』と並び、“自社IP”としての『ガンダム』がグループを支える最重要作品となっている。 本作品は玩具から始まり、その商売を成り立たせる事情との融通のためにSFやロボットという皮をうまく被りながら、実際は「壮大な人間ドラマと深い人間社会の考察」をベースにした物語によって「アニメなんて」と卑下される産業の地位向上に大きく影響した。これは、敬意を表すべきことだろう。 プラモ、玩菓、ガチャ、ゲーム、カードダスなど、人気キャラを張り付けた“雑貨”のように見られた業界を1つの産業として成り立たたせ、バンダイという「おもちゃ屋」を任天堂やサンリオと並ぶ一大企業へと引き上げた。1980年代までは“色モノ”でしかなかった「キャラクターもの」が1~2年でしぼむ使い捨てとしてではなく、物語とともに5~10年とファンと一緒に育成していくものだという事例を最初に見せつけた「キャラクタービジネスの金字塔」である。 2029年の50周年で、その経済圏のすそ野は「海外」というブルーオーシャンによって今をもっても想像の埒外にあるような、新しい景色を見せ続けてくれる作品になるだろう。
〔参考文献一覧〕 ・【サンチャン】「富野由悠季ワールドセレクション」富野監督インタビュー フルVer. サンライズYoutubeチャンネル.https://www.youtube.com/watch?v=yuW0Zn1lxO0&t=3s ・今柊二.ガンダム・モデル進化論.祥伝社,2005年 ・南信長.1979年の奇跡 ガンダム、YMO、村上春樹.文藝春秋,2019年 ・松本 悟/仲吉 昭治.俺たちのガンダム・ビジネス.日本経済新聞出版社,2007年 ・猪俣謙次.ガンダム神話.ダイヤモンド社,1995年 ・富野由悠季.戦争と平和.徳間書店,2002年
執筆:エンタメ社会学者、Re entertainment代表取締役 中山 淳雄