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安室奈美恵引退に考える昭和平成歌の文化史 もうひとつの太平洋戦争

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THE PAGE

 人気アイドルグループ・嵐が2020年末で活動休止すると発表しました。1999年のデビューからおよそ20年。トップアイドルの決断は、ファンのみならず世間に大きな衝撃を与えました。振り返ってみると、キャンディーズや山口百恵さんなど、人気絶頂時に表舞台から去った芸能人は少なくありませんが、こと最近でいうと、昨年9月に引退した安室奈美恵さんの顔が思い浮かぶ人も多いのではないでしょうか。  建築家で、文化論に関する多数の著書で知られる名古屋工業大学名誉教授・若山滋氏は、安室さんの前と後で「日本の軽音楽文化が変化したのではないか」といいます。どういうことでしょうか? 若山氏が過去の軽音楽の変遷を振り返りながら、独自の「文化力学」的な視点から論じます。

引退インタビューにおける「語り」の真実味

 安室奈美恵のインタビュー番組を見た。  感動した。  特にファンでもなかったので何気なく見ていたのだが、ついつい引き込まれたのだ。彼女の「語り」にである。内容がしっかりしている。言葉もよく選ばれている。当然かもしれないが、声も表情もきれいだ。  敷かれたレールの上を走っていた…何をやっていいか分からなくなった…作曲をやってもみたけどダメだった…今は声が出なくなりつつある…などなど、赤裸々に語っていた。  僕らの世代(団塊の世代)にとって、安室奈美恵と小室哲哉の全盛期は仕事が忙しい時期で、テレビを見る暇もなく、彼女はみんなが「アムラー」となって憧れるほどカッコイイ、歌と踊りが抜群にうまい沖縄出身の女の子というだけの印象であった。しかし今回のインタビューには、華やか人気芸能人のイメージとはかけ離れた、言葉の重みと深みを感じたのだ。  しかも彼女は人見知りで、これまでインタビューを受けることを避け、ステージでも「語り」を入れなかったという。だからこそ言葉に真実味があるのかもしれない。本を書いたらどうかと思ったほどだ。引退してからというのも奇妙だが、僕は彼女のファンになった。  番組を見ながら、安室奈美恵の前と後で、日本の軽音楽文化が変化したのではないかと感じたので、年号が変わる節目に当たって、特に音楽通というわけでもない一般人として、昭和平成の軽音楽の変遷を文化論的に振り返ってみたい。見えてくるのは、日米文化戦争の時代からグローバル時代への転換であると同時に、その揺り戻しである。

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