ウクライナ侵攻で投入される北朝鮮兵は「突撃部隊」 兵士報酬ピンハネ、実戦経験のメリットも。日本にも影響?
「そうは思わない。この二つは別のものだ。北朝鮮は現在、ロシア支援に集中している。韓国との衝突を今は望んでいないということだ。韓国を攻撃しようとしているのなら、ロシアに大量の弾薬を送ることはない。北朝鮮軍が韓国との間を結ぶ道路や鉄道の北朝鮮側を爆破するなどして南北の緊張が高まっているのは確かだ。双方の誤算によって緊張がエスカレートする可能性はある」 ―北朝鮮は米国との対話を拒み続け、外交対話は望めない状況です。 「2019年10月にスウェーデンの首都ストックホルムで開いた実務協議以降、非核化交渉は5年間も途絶えたままだ。2021年1月に発足したバイデン政権下では一度も実現していない。極秘対話があったかどうかは分からないが、政権高官たちは一様に『あらゆる手段を試したが、北朝鮮は対話に応じない』と話す。少なくとも実のある外交はできていない。対話再開のために米側が譲歩すべきだと主張する人もいるが、私はそうは思わない」 ▽日本の政局混迷は安保にどう影響?
―日本はロシアと北朝鮮の近隣国ですが、厳しい安全保障環境に日米が対応する上で、日本の政局混迷は同盟にどう影響するでしょうか。 「衆院選の結果を受けて石破政権が続くかどうか注目している。石破茂首相は11月11日に見込まれる首相指名選挙は乗り切るかもしれないが、求心力は低下した。内政に集中せざるを得ず、法案の推進力は落ちる。国内総生産(GDP)の2%を防衛費に充てるという公約があるが、財源をどうやって賄うのかについては決着していない。日本が中国に対する政策を軟化させたり、韓国との緊張を高めたり、米国との同盟関係から遠ざかったりするとは思わないが、国内で少しでも論議を呼びそうな政策を進めるのは難しくなる。日米同盟はしばらく弱体化するだろう。さらに影を落とすのが米大統領選だ。民主党のハリス副大統領が勝てば同盟の行方は予想しやすい。共和党のトランプ前大統領が勝利すれば、多くの不確実性がある」 × ×
BRUCE KLINGNER 米中央情報局(CIA)や国防情報局(DIA)で約20年勤務し、東アジアや朝鮮半島の情勢を分析。2007年からヘリテージ財団。