【報じられない真実】3年目の新年、すでにウクライナ戦争の勝負は決している!
ウクライナ戦争の現状を外部から観察するとき、ウクライナの情報だけに頼るのは危険だ。同じく、ロシア側の情報に依存しすぎることも、現実を歪めて解釈することにつながる。 中国で消された「正直すぎるチーフエコノミスト」たちの証言 だが、多くの日本人は、親ウクライナあるいは親アメリカ的な視線になりがちな、ウクライナや欧米諸国の主要マスメディア情報に頼っている。その結果、間違える。 テレビに登場する「専門家」が、これまで頻繁に「誤報」を流してきたのはこのためである。それらの情報は偏向したものが多く、情報受信者を意図的に導こうとする不正確な情報、すなわちディスインフォメーションであることが多い。 それでは、どうしたらいいのか。おそらく、誠実で信頼できるジャーナリストの情報に耳を傾けることが、こうした偏向を避けるためのスマートな方法なのではないか。 そう考える私は、ユーリヤ・ラティニナというロシア人ジャーナリストをもっとも信頼している。数年前まで、モスクワを訪問するたびに会っていた人物でもある。もちろん、「ロシアは独裁国家だ」と言ってはばからない熱血漢でもある。そんな彼女が2024年12月26日に「ノーヴァヤ・ガゼータ・ヨーロッパ」で公表した記事は必読だ。
重要な炭鉱もロシアの手に落ちる
記事は最新の戦況について、「大きな変化があった」と伝えている。ウクライナ軍にとって不利益な情報だけに、欧米諸国で報道されることはないかもしれないが、信頼できるラティニナの情報だけに、認めざるを得ないだろう。 それは、ウクライナ産業にとって重大な意味をもつ石炭鉱山が、ロシア側に占領されたというものである。二つの地図を使って、状況を説明してみたい。 地図Aは、The Economistに掲載された「ロシアがウクライナの重要な炭鉱の接収を試みている理由 この炭鉱がなければ、同国の残る鉄鋼産業は麻痺するだろう」という記事に収載されていた地図である。記事のタイトル通り、ロシアはポクロフスクの占領をめざしている。 同市には、ポクロフスク炭鉱グループがあり、ウクライナ最大の無煙炭炭鉱を運営している。このコークス用石炭は、鉄鉱石の精錬に使用され、鉄鋼産業にとって不可欠なものだ。もしこの炭鉱が占領されると、粗鋼生産に大打撃となるだけでなく、火力発電にも痛手となるだろう。2024年のウクライナの粗鋼生産は750万トン程度とみられているが、「ポクロフスクが失われた場合、それは200万トンから300万トンになるだろう」と推測されている。 地図A ウクライナ東部のドネツク周辺の戦況(2024年10月12日現在) (出所)https://www.economist.com/europe/2024/10/13/why-russia-is-trying-to-seize-a-vital-ukrainian-coal-mine ポクロフスク近くを拡大したのが、地図Bである。ロシア語表記なので、わかりにくいかもしれないが、上部の赤色で覆われた「M-30」というマークの下に比較的大きな太文字で表記されているのが「ポクロフスク」()である。ただし、炭鉱は赤丸で囲まれた「ペスチャノエ」()にある。ロシア軍はまず12月16日、ペスチャノエから2キロほど南東にあるシェフチェンコ()の要塞を占領した。 ラティニナの記事によると、ウクライナ軍は、このシェフチェンコとペスチャノエの防衛のために、フランスで数カ月の訓練を受けた新しい第155機械化旅団が派遣されたのだが、戦わずしてシェフチェンコだけでなくペスチャノエも占領されてしまった。旅団の半分以上は、動員されたばかりの兵士で構成されていた。「その結果、前線に到達する前に1000人が逃げ出した」のだという。2度の反撃はしたのだが、その後、参加者の大部分も散り散りになった(ジャーナリスト、ユーリイ・ブトゥソフの報告を参照)。 地図B ポクロフスク近郊(赤丸はぺスチャノエ) (出所)https://news-pravda.com/russia/2024/12/17/925413.html