「昔話ではない」 朝ドラ「虎に翼」が法曹界でも絶賛されたワケ 今も残る「壁」壊そうと戦う弁護士は
守るべき「水源」とは
ーードラマの舞台から数十年が経ちましたが、まだ現実では寅子が思い描いた公平な社会は実現できていませんね。そんななか、日弁連は2017年、副会長を13人から15人に増やし、2人は女性を割り当てる「クオータ制」を導入し、「空気」を変えようと動き出しています。 日弁連の男女共同参画推進本部のメンバーとして、説明のため各地を回りました。反対も多く、「女性にゲタを履かせるのか」などと言われました。でも、実際に導入されて日弁連内の雰囲気は変わりました。私自身、会議の場に女性役員がいることで発言しやすくなったと感じます。 「虎に翼」でも男子学生たちが寅子たちと接することで、自らの無意識の偏見に気付き、変わっていきます。日弁連の男性役員も、女性役員の存在があることで、学び、変革していったと思います。 ーー「虎に翼」から私たちは何を学ぶべきでしょうか。 寅子は当初、法律は「守るべき水源のようなもの」と感じていました。しかし、憲法が変わっても残り続ける不平等を前に、「水源は法律ではなく、人権や人の尊厳なのではないか」とも語ります。 法律を形式的に守ることだけを考えて、法が守ろうとしている根本の権利を見失えば意味がありません。個人の尊厳こそが最も重要で守られるべき水源だということを寅子は学んだのですね。 これほど憲法をど真ん中に描いたドラマを私は見たことがありません。どんなエンディングへと向かっていくのか、楽しみです。 ーーーーーーー 【オンラインイベント・「虎に翼」から考える、私たちの社会】 17日18時半~、朝ドラ「虎に翼」の法律考証を担当した村上一博さん(明治大学法学部教授)にお話を聞きます。 申し込みはこちら(https://withnews.jp/articles/keyword/10926)から。