【毎日王冠回顧】好位から上がり33.3、大人びたセンス光ったシックスペンス 本格化気配ある2着ホウオウビスケッツ
本格化気配のホウオウビスケッツ
2着は逃げたホウオウビスケッツ。デビュー2戦目で東京芝2000mを後半1000m11.8-11.6-11.2-11.2-11.9で乗り切った好素材が4歳夏を境に本格化しつつある。気性のコントロールも効くようになり、もう大崩れはなさそう。後半600m33.7は同馬にとってちょっとだけ速く、シックスペンスの瞬発力に屈したものの、もう少し持続力寄りに中盤を進められれば、大舞台でも一発ある。 母系にノーザンテースト、トニービン、サンデーサイレンス、エアグルーヴ、キングカメハメハ、ディープインパクトと現代日本競馬の結晶が詰め込まれた理想的な血統。活躍するほどに価値はあがっていく。岩田康誠騎手が騎乗すると、【2-1-2-0】と崩れない。久々のGⅠ勝利を目指す康誠騎手にとっても、この秋は正念場。ホウオウビスケッツとなら。そんな気持ちも強い。次走も強気に“らしさ”あふれる騎乗をみせてほしい。 3着エルトンバローズは復調を示した。スローの外枠のため、外を回らざるを得なかったが、 直線では持ち前のしぶとさをみせた。勝った昨年と同じ1.45.3で駆け抜けており、現状の力はきっちり出した。GⅠとなると、ワンパンチ足りないが、脚質的に流れに恵まれる可能性もある。 4着ヤマニンサルバムは前の先行馬が粘ったため、なかなか進路を見出せず不完全燃焼だった。ホウオウビスケッツの背後にいた5着シルトホルンやその内にいた8着マテンロウスカイも競馬の手筋は悪くなかったが、末脚を伸ばすスペースがなかった。明らかに脚を余しており、内にいた馬たちには次走も注目しよう。 ライタープロフィール 勝木 淳 競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『アイドルホース列伝 超 1949-2024』(星海社新書)に寄稿。
勝木 淳