ローマ教皇へブーケ献上 フラワーアーティストの花人・赤井勝さん 世界的地位確立の背景にある〝謙虚〟さ
─剣豪・宮本武蔵の「一枚の葉を見て木が見えず」「木を見て森が見えず」のように、立ち位置を変えてアプローチの仕方を考えることが大切と言うことにも通ずる。
僕は水が溜まるものであれば花瓶になると思っている。例えば、クリアファイルも角に水が溜まれば花瓶になる。そう考えると、そもそも花瓶の定義とは何かと一緒で、花を写真の中に生けようと考えた。
─その考えがこの美術館に反映されたわけだ。ここには生花がなく、写真に生けた花がずらりと並んでいる。お話を聞きながら、先生はいろんなものに感想を持たれているようだ。何事にも感想を持つことから問いが生まれ、その問いを解決することが文化レベルの向上に繋がる。
僕はそんな大層なことは考えておらず、たださまよい、迷っているだけ(笑)。 僕は生涯花屋だが、一つずつ仕事をいただきながら、また新しいことに気づかされ続けている。だから、花を極めるなんて大層なことはできないと思うから、一生懸命に取り組んでいくだけだ。
赤井勝さんプロフィル
1965年、大阪生まれ。花という素材を通して心を伝えていくことこそを自分の仕事と考え、自らを「花人(かじん)」と称する。また自身の飾る花を、華道でもフラワーデザインでもなく、あえて「装花(そうか)」と呼ぶ。「エンポリオ・アルマーニ」のイベント装花、ルーブル王宮内のパリ装飾芸術美術館で桜の枝約700本を飾ったり、ローマ教皇への謁見(えっけん)の際にブーケを献上したりするなど国内外で活躍。このほど堺市に、写真の中に装花した作品の美術館「Akai Masaru Art Museum」もオープンした。