「コスチュームジュエリー―美の変革者たち―」展が宇都宮美術館で開催。シャネル、ディオールなど約400点の作例を一挙紹介
小瀧千佐子のコレクションを通して、コスチュームジュエリーの歴史とデザイナーたちの様式美を包括的に探究する
宇都宮美術館で、企画展「コスチュームジュエリー―美の変革者たち― シャネル、ディオール、スキャパレッリ 小瀧千佐子コレクションより」が、9月8日~12月15日まで開催される。 20世紀初めに誕生し、ポール・ポワレが嚆矢となって、シャネルにより広く普及したコスチュームジュエリー。素材や伝統に縛られず、優れたデザインや衣服との組み合わせで生まれる魅力によってパリのモード界を席巻し、やがてアメリカへと伝播した。 本展は、コスチュームジュエリーの研究家でありコレクターの小瀧千佐子のコレクションから選ばれた約400点の作例を通して、その歴史を包括的に紹介する日本初の機会。 第1章では、コスチュームジュエリーの先鞭をつけたデザイナー、ポール・ポワレが手がけた夜会用マスク「深海」を展示する。細かなガラスビーズなどが繊細に縫い付けられたこのマスクは、デザイナーの自由な発想とそれを支える職人技術の協働がもたらす豊かなコスチュームジュエリーの黎明を象徴する作品だ。 さらにシャネル、ディオール、スキャパレッリといった、ポワレに続くデザイナーたちが監修した作品群も紹介される。 ヨーロッパの様々な工房によるクチュールジュエリーが集まる第2章では、独自のガラス技法を駆使したメゾン・グリポワ、ヴェネチアンビーズを効果的に使用したコッポラ・エ・トッポといった工房によるオリジナル作品に加え、シャネル、ランバンなどのオートクチュールメゾンへ提供された作品も一堂に会する。 そして第3章では、ヨーロッパから伝播し、独自の発展を遂げたアメリカのコスチュームジュエリーを紹介。優雅なデザインのミリアム・ハスケル、ハリウッド映画を通して人々の羨望の的となったジョセフ・オブ・ハリウッドなどのジュエリーによってその幅広いスタイルを示す。また、多様な素材を用いた作品に着目したコーナーも登場する。 なお本展は、2023年10月から始まった巡回展で、4会場目となる今回は、新たにシャネルやディオール、イヴ・サンローランのドレスやスーツが紹介される。コスチュームジュエリーをドレスに合わせてコーディネートし、ともに展示する試みも見どころのひとつとなっている。会期中は、展覧会監修者の小瀧千佐子による講演会やネックレスづくりのワークショップも開催予定。
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