北京五輪の公式アプリに注意?!米紙が北京五輪の問題点を指摘「米中の利害がぶつかる劇場になる可能性が」
その上で中国に対しても厳しい視線を投げかけた。 中国人権擁護団体の代表者が「中国政府が五輪を利用して、国際社会の尊敬と承認を勝ち取ったことを自国民に示そうとしているのは明らかだ」と発言していることを伝えた。 米国政府は北京五輪への主要外交官の派遣を取りやめる“外交ボイコット“を行っている。 同記事は五輪の理念と現実との乖離を指摘し、「アスリートたちは競技に参加したいと思っていて、彼らは敬意と公平さをもって扱われなければいけない。メールを調べたり感染しているかどうかにかかわらず隔離センターに入れたりする場所ではない。彼らはただ、スキーやスケートをしたいだけで、抑圧や暴力の道具になりたいわけではない。彼らは、政府の支配力を強める駒として使われるのではなく、世界のベストに挑戦したいだけなのだ」と締めくくった。 また米NBC局電子版は、2008年の北京五輪の夏季大会と今回の冬季大会を比較する記事を掲載した。 「中国は北京五輪夏季大会から台頭し経済的にも政治的にも世界での地位を確かなものにした。一方、中国と米国の関係は、相互の好奇心ではなく、激しいライバル意識と不信感に支配されている」と、米中の外交問題の変化を指摘。 「中国の人権問題が懸念されていたにもかかわらず、2008年の五輪は世界的に大きな好意をもって迎えられ、中国の消費者市場にも関心が寄せられた。五輪を開催することで、中国は、さらに国際的に認められ、民主化への道を歩むことになるかもしれないという明るい予測があった。しかし、中国は、特に欧米諸国の期待通りにはならなかった。国内での権威主義が強まり、外交問題、パンデミックの発生などにより、中国に対する世界的な風当たりは年々強まっている」と、西側諸国の視点から見た、中国を取り巻く厳しい国際情勢を伝えた。 記事は、中国の外国メディアへの対応についても懸念を示した。 「2008年の大会では、人権活動家が懸念を表明し、ボイコットを呼びかけた。これに対し、中国とIOC(国際オリンピック委員会)は、大会開催によって中国の人権が向上すると反論した。 中国政府は誠意を示すために、外国人ジャーナリストへの規制を緩和し、オリンピック・プロテスト・ゾーン(抗議行動ゾーン)を設置したが、後者は一度も使用されていない。中国外国特派員協会の新しい報告書によると、外国人ジャーナリストは、中国本土を取材する際に、これまでにない障害に直面している」と伝えた。
スコットランドのエディンバラ大学で、スポーツ政策を研究するチョン・ウー・リー氏は「2022年の北京五輪は、米中の利害がぶつかり合う劇場になる可能性がある」とのコメントを寄せている。微妙な米中の外交関係の利害がぶつかりあう劇場よりも、世界から集まったアスリートのフェアな対戦を見たいと願うのがファンの思いなのだろうが…。国際社会における政治的”爆弾”を抱えたまま北京五輪が開幕する。