【阪神】〝禁断のTG移籍〟は幻に…伊勢孝夫氏は大山悠輔に「不惑の大砲」を期待
去就が注目されていた阪神・大山悠輔内野手(29)は、国内FA権を行使した上で虎残留を決断した。背番号3には東の伝統球団にして宿命のライバル・巨人が熱心に獲得を目指していたが「禁断のTG移籍」は幻に終わった。その大山の選択はどう映ったのか。本紙評論家の伊勢孝夫氏は「ベストな判断だった」と評し「40歳前後まで現役を続行することも十分可能」と〝不惑の大砲〟の誕生に期待を寄せた。 【新IDアナライザー・伊勢孝夫】条件面では巨人の方が阪神を上回っていたそうやけど、単純に「カネで転ばなかった」のが何とも大山らしいな。精神的にもスッキリしたと思うし、来年はええ成績を残すんとちゃうかな。 5年間の長期契約。大山は今月で30歳になるだけに「契約期間が後半に入る頃には〝衰え〟が訪れてしまうのでは」とリスクを指摘する向きもある。でもな、天然芝&黒土の甲子園球場が使える阪神なら負傷のリスクはグッと減る。人工芝の東京ドームやと選手寿命は短くなるよ。たぶん大山はその辺も考慮に入れた上で阪神残留を決めたんとちゃうかな。 長距離打者は30歳を超えたあたりからふくらはぎを痛めて、衰えが始まるパターンが多い。大山は全力疾走を欠かさない生真面目な男やけど、そろそろ6、7割の力で走ることを意識してほしいな。これまでの大山を見てきた人間なら誰も文句は言わんよ。5年契約が終わったころに元気な体を維持できていれば、そこから3年、4年、5年と40歳前後までのキャリア続行も見えてくる。 いずれは指導者になるような人材やけど、まずは現役選手としての〝出口戦略〟を考えれば、今回のチーム残留は間違いなく吉と出るはずや。将来的に佐藤輝や森下に4番の座を禅譲できればチームとしての世代交代もスムーズに運ぶ。藤川監督もホッとしてるやろな。まだまだ阪神には大山の力が間違いなく必要よ。 仮に大山が巨人に移籍しとったら…。関西のファンはおっかないで。俺が現役の頃やから大昔の話ではあるけど、日生球場の一塁内野席からトンカチが飛んできたことあるもん。ブルンブルン回転しながら飛んで来たわ(笑い)。俺、ファースト守ってたから怖かったなー。時代が違うし今はそんなことないと思うけど、それでも「禁断のGT間移籍」が成立してしまっていたら大山やって多少は大変な思いをすることになったかもしれない。そんな風景を見ずに済んで良かったよ。息の長い選手になってほしいな。 (本紙評論家)
伊勢孝夫