「できる子」は消さない…!「筆算の途中式」にひそんでいる「じつに便利で、しかも奥深い」数学の法則
「数学的なセンス」とはなんでしょうか。 数学の問題を「正確に速く解く」うえで,計算技能に習熟することは大切ですが,「数学センス=計算力」では決してありません。数学的なセンスとは,数学を楽しみ,問いを掘り下げ,「数」や「図形」の世界についてより深く理解するための道筋を自らたどることができる能力です。 【画像】解決まで300年超…フェルマーの最終定理「中学数学で探求」できる 〈理系に強い子ども〉に育てたい親御さんが増えていますが,「数学センス」を磨くことがその近道です。そしてそのエッセンスは,じつは「中学数学」に詰まっているのです! 中学3年間で学ぶ重要ポイントを抽出し,教科書では習わない視点でとらえなおす「新しい時代の新しい勉強法」をご紹介する『中学数学で磨く数学センス』から,数学を楽しみ,「数学センス」を磨くためのポイントをご紹介していきましょう。今回は, *本記事は、『中学数学で磨く数学センス』(ブルーバックス)を抜粋・再編集したものです。
手計算での工夫
前回の記事で計算した1/7の筆算(ひっさん)に続いて,2/7を筆算で計算することを考えてみよう。 1/7と同じように筆算で計算していくと,次のようになる。 余りに2が出てきて,繰り返しが起こる。 しかし,余りの2は,すでに1/7の筆算で見たので,その部分から商を書いていけば,わざわざ計算しなくても2/7の小数表示(0.285714…)が得られる。同じく1/7の筆算結果から, 3/7の小数表示は,余りに3のある,4から始まる0.428571であることがわかる。 同様に,4/7の小数表示は0.571428…,5/7の小数表示は0.714285…,6/7の小数表示は0.857142…である。 筆算の途中式が残っていれば, 1/7に対する1つの計算から,6つの分数の小数表示を知ることができる。 また,これらの循環節はいずれも,142857142857…のどこかから始まっている。 *数学センスを磨くポイント* 途中式を残すと計算が便利であり, 法則を見つけやすくなる。 続いては,循環節から図形を作ってみよう。