「富士山」で噴火がおこったら…噴火直後から飛んでくる「噴石」、身を守る「意外な最善策」
火山における噴石の起こり方や噴出の範囲は、火山の噴火タイプによって違いがあることを、前回の〈「富士山噴火」で「噴石」を降らせる噴火「2タイプ」をシミュレーション…知っておくべきは「危険範囲」と「火口位置」〉でご説明しました。 【初回の画像から】山開きを控える富士山…ここで噴火が起こったら!? 今回は、「では、実際に噴火が起こったときの被害を防ぐ方法」を中心に考えてみたいと思います。また、富士山に接する地域では、ハザードマップが公表されていますが、そうしたハザードマップの見方についても見てみましょう。 *本稿は、ブルーバックス『富士山噴火と南海トラフ』の内容を再構成してお送りします。
噴石のハザードマップ
過去3200年間の富士山の噴火をもとに、噴石のハザードマップが描かれている。そこでは、やはり、プリニー式噴火とストロンボリ式噴火が想定されている。 このうちストロンボリ式噴火によって噴石が到達する可能性のある範囲と、過去に大規模、中規模、小規模の噴火を起こした火口の分布との関係については、注意が必要である、ということを述べた。 それは、噴火の規模によって火口分布は少しずつずれていることである。つまり、富士山のような大型の成層火山には、山頂火口とともに数多くの側火口があるため、大規模、中規模、小規模の火口位置がそれぞれ異なってくるのである。 具体的には、大規模な噴火を起こす火口は、山頂とともに北西側に伸びている。これに対して、中規模と小規模の噴火を起こす火口は、東や南の方向へやや拡大している。さらに小規模な噴火口は、中規模な噴火口よりも外側へ少し伸びており、加えて南側にも張り出している。これらすべての火口予測範囲から、さらに2キロメートル外側に囲ったものが、ストロンボリ式噴火による噴石の到達可能性範囲となる。 なお、つけ加えておくが、こうして予測されたすべての火口が一度に開いて、範囲内全域に噴石が飛び散るわけではない。どこの場所で火口が開いたかによって、噴石の到達範囲が連動して変わるのである。 最終的に、大規模なプリニー式噴火による4キロメートル範囲(濃い赤)と、中規模(朱色)と小規模(薄い朱色)のストロンボリ式噴火の2キロメートル範囲を合わせて、いちばん外側に「噴石到達範囲」として桃色の地に点々で示したものが、「噴石の可能性マップ」である。 ただし、噴石が風に運ばれた場合には、ここに図示された範囲を超えて落下する可能性がある。このため図には、「この範囲外にも、まれに、10センチメートル未満の小石などが飛ばされることもあります」と注意書きが添えられている。これもまた、たいへん重要な情報である。