中学受験を断念し6年生で海外留学を決断した母子 「塾を辞めたい」息子のひと言から始まった新しい人生
── 住んでいた地域は中学受験を選択するご家庭が多かったとのことですが、塾を辞めることへの不安などはありませんでしたか。 高橋さん:不安はもちろんありました。正直なところ、いくつかの選択肢から子供にとってのベストな道として中学受験を決めたわけではなく、流されるままにここに来たので、この先どうしていけばいいのかわからなかったからです。 これまで仕事と子育てに追われて、毎日をただ乗り越えていくだけで精一杯。時間までに子供を保育園や小学校に送り出し、お迎えの時間までに仕事を終わらせ、そこからいかに子供を早く寝かせるか…。とにかく毎日が時間との戦いで、子供としっかり向き合えていたかと言われると、自信をもって「はい」と答えるのが難しいくらい余裕がありませんでした。
でも、子供の「塾を辞めたい」という言葉がきっかけで、私自身「子どものためにも、このままの生活じゃダメだ!」と気づけたんです。中学受験をせずに公立の中学に行っても、高校受験、その後は大学受験がやってきます。中学受験を避けて高校受験ならうまくいくのか…というのも不安でしたし、もう同じような失敗はしたくないという気持ちもあり、この先の子供の将来について、一度立ち止まって真剣に考えなくてはという気持ちになりました。
── どういった経緯で海外留学の案が出てきたのですか。 高橋さん:息子について考え始めると、自分の経験が思い出されました。学生時代に海外で短期のホームステイなどをしたことがあったんですが、それがすごく楽しかった記憶があって。それに、母子ともにビーチリゾートが大好きだったので、息子が小さい頃から2人で海外旅行をしていたのですが、息子は英語が全然話せないのに、現地でも友達を作るのが得意な子どもでした。新しい環境に行っても、きっとすぐに馴染める性格だと思っていたんです。
日本にいると学歴社会といいますか、成績がいい方がよくて、いわゆるいい学校とされるところに入るのが成功者というような雰囲気が残っているようにも感じていました。私が子どもだった時代から変わらない、そんな風潮に疑問を持っていたこともありましたし、果たして息子が幸せに過ごせるのかなと。息子の良いところを伸ばすには海外留学をしてみるのもいいのかなと思ったんです。 息子の友達が小学4年生から親子で留学をしていて、私もお母さんと仲がよかったので、「海外という選択肢もある」というのが頭の片隅に残っていたのも大きかったと思います。