カマラ・ハリスがパンツスーツを選ぶ理由とは。米大統領候補のパワー・ドレッシング術
今年8月、米国シカゴで行われた民主党全国大会の初日の夜、カマラ・ハリス米副大統領はベージュカラーのスーツに身を包んでサプライズ登場した。控えめでありながら、人々の注目を集めたこの彼女のテーラリングスタイルには一体どんな意味が込められていたのだろうか。 【写真】アメリカ副大統領、カマラ・ハリスの歴代ファッションを総ざらい
さまざまな解釈が可能だ。バラク・オバマ大統領が2014年に着用して話題になったベージュスーツを意識していた。当時オバマのそのスーツを批判した人々への当てつけだった。女性デザイナー(「クロエ」のシェミナ・カマリ)への支持を表明した。周囲に溶け込もうとしていた。個性を主張していた。多様性を表現していた。はたまた型を演じようとしていた――。
あるいはもっと簡潔に答えるならば、ハリスがその茶色のスーツを選んだのは、単に着心地が良かったからかもしれない。彼女はそれがその場にふさわしいと思い、そのスーツを着れば自分がやるべきことができると感じたのかもしれない。
実際のところ、この単純な理由の方が真実に近いのではないかと思う。写真の彼女は背が高く見えることから、着ている服が快適であることがわかる。有名人あるあるだが、実生活では画面で見るよりもずっと背が低いことがある。実際、ハリスの身長は5フィート4 1/4インチ (約163cm)だ。しかし、ハリスの堂々とした身のこなしは、彼女の背丈を実際よりもずっと高く見せている。
彼女は自分のユニフォームを持っている
ハリスは自分に合うものを知っていて、それこそが彼女の着こなしとなっている。彼女は自分にあったスタイルを熟知し、それを職業的な要求や公の場での露出に適した形に当てはめることで、本来の仕事に集中することができる。つまり、彼女は自分のユニフォームを持っているのだ。
それには利点がある。ヒラリー・クリントンは2017年の回想録『What Happened 何が起きたのか?』の中で、彼女の有名なパンツスーツが自分をいかにきちんと整え、プロフェッショナルに感じさせてくれるかについて述べているが、別の長所もあったと説明する。「ユニフォームは、人々の気を散らさないためのもう一つのテクニックだ。人々は私が着ているものについて意見することも報じることもあまりないので、代わりに私が何を言っているかに集中するようになる」。ハリスにとって、そのメッセージは何よりも重要だ。彼女は自分が国や政党よりも偉大な存在であるとは思っていない。彼女は奉仕することを求めているのであって、奉仕されることは求めていないのだ。