カマラ・ハリスがパンツスーツを選ぶ理由とは。米大統領候補のパワー・ドレッシング術
ハリスの服装は彼女が品格と一貫性を持って行動していることを表している
政治の世界で女性が着る服装について議論するときによく挙げられる不満は、男性政治家はそうした監視を受けていないということだ。それに対して私は丁重にこう言う。「監視は受けているし、絶対に受けるべきである」
ハリスが副大統領候補に指名したティム・ウォルツの「レッド ウィング」のブーツと「カーハート」のジャケットは、この米ミネソタ州知事が信頼できる相棒であり、善良で謙虚な人物であることをアピールしている。一方でドナルド・トランプの長すぎるネクタイは、彼が世間知らずで、フィードバックやほんの少しの批判さえ受け入れることができず、服装に関するちょっとしたアドバイスさえ躊躇(ちゅうちょ)する「イエスマン」たちに囲まれていることを思い起こさせる。それとは対照的に、ハリスの服装は彼女が品格と一貫性を持って行動していることを表している。
ハリスはファッションを楽しむことも忘れていない。夫のダグ(ダグラス・エムホフ)とビヨンセのコンサートデートに出掛けた夜、彼女がミラーボールのようなゴールドの「ラクアン スミス」のシャツ姿でいかに陽気な雰囲気だったか。そして今年初めにホワイトハウスで行われた公式晩餐会で彼女が着ていたエメラルドグリーンのケープドレス(これも「クロエ」)がいかに完璧すぎず、現代的な魅力をたたえていたか。彼女の大統領就任式がどんなに盛大なものになるか、ぜひ想像してみてほしい。
ハリスの服装に何かメッセージがあるとすれば、それは彼女の選挙運動で掲げるスローガン、「フリーダム(自由)」を後押しするものだ。彼女は着こなしで自主性を表現している。彼女は自分の身体を好きなように着飾る。それはとても、カマラ・ハリスらしい。 クリントンと彼女のパンツスーツの話に戻すと、彼女はこう述べている。「すべての人を喜ばせることはできません。ならば、自分に合った服を着たほうがいいのです」。ハリスはすでにそれを実践している。 Translation & Text : Naoko Ogata