【特集】15年ぶりに新市長が誕生!名古屋市長選を振り返る 2025年は「広沢市政 本格始動」の年に
河村たかし氏の衆院選出馬を機に行われた名古屋市長選。過去最多に並ぶ7人が出馬し、争点は河村市政の“継承”か“転換”か。選挙戦略が変化する中、SNSのあり方も問われた市長選。
■事実上の一騎打ちに…争点は河村市政の“継承”か“転換”か
11月10日に告示日を迎え、7人が立候補した名古屋市長選。15年間名古屋市長を務めた河村氏が衆院選への出馬を決めたことにより、任期を半年以上残しての選挙となりました。前副市長の広沢一郎氏と、前参議院議員の大塚耕平氏が支持を集め、事実上一騎打ちの戦いに。広沢氏は河村氏の後継候補として指名され、日本保守党の推薦を受ける一方、大塚氏は自民党・立憲民主党・国民民主党・公明党が相乗りで推薦し、愛知県の大村知事も全面支持を宣言しました。河村氏と大村知事は市と県の代表として対立を続けてきた関係だけに、“代理戦争”とも。
名古屋市東区の事務所で河村氏と肩を並べ第一声を上げたのは、河村氏の後継候補・広沢氏です。14年前に報道で見た河村氏の姿に感銘を受けたのをきっかけに東京から名古屋へ移り住み、政治の道を志したといいます。「私は(河村氏の)後継なので、(河村市政を)全てまるごと継承します。継承するどころか発展させます。」河村氏の“愛弟子”ともいえる広沢氏は、市民税減税、名古屋城天守の木造復元、市長年収800万円など、河村市政の“まるごと継承”を公約に掲げました。アピール方法は、師匠である河村氏おなじみの“自転車街宣”です。河村氏が街宣車に乗り込み、その後ろを自転車に乗って追いかけます。河村氏の「アーユーレディ?」という呼びかけに「はい、OKです!」と答える広沢氏。二人三脚での選挙をスタートさせました。
多くの人が行き交う栄で第一声を上げたのは、前参議院議員の大塚氏です。市長選への出馬を表明したのは、告示日の1年以上前の2023年6月でした。「(市民税)減税も、名古屋城の問題も、また何年もこの話題で過ごすことになったら世界が早いスピードで回っているので名古屋はどんどん遅れていきます。名古屋をアップデートさせてください。」大塚氏は河村氏が市民税減税や名古屋城天守の木造復元について説明責任を果たしていなかったと批判し、“アップデート名古屋”をテーマに給食費無償化や認知症対策などを公約に掲げました。大塚氏の出陣式には、相乗りで推薦した各政党の議員たちの姿が。さらに、大塚氏を支持すると宣言した大村知事もマイクを持ち、「県と市がしっかり連携しなければならんと、大塚耕平さんとだったら一緒にできるんです。」と集まった市民に訴えかけました。 今回の市長選で争点となったのは、15年続いた河村市政の“継承”か“転換”か。広沢氏は河村市政を継承し、市民税減税については減税幅を5%から10%に拡大すると主張しました。対する大塚氏は、市民税減税は効果を検証してから判断し、名古屋城天守の木造復元は計画が止まっている経緯などを市民に説明してから進めるとしました。