【特集】15年ぶりに新市長が誕生!名古屋市長選を振り返る 2025年は「広沢市政 本格始動」の年に
■“選挙モンスター”の強さとSNS選挙の課題が明るみに
当初、4政党と大村知事の支持を受け、“与野党相乗り”の大塚氏が優勢と思われました。しかし、予想に反して大塚氏は苦戦を強いられることに…。それは、衆院選でも他の候補者を圧倒した“選挙モンスター”河村氏の存在です。河村氏が広沢氏とともに街頭演説に現れると、瞬く間に人だかりができるほどの人気っぷり。「河村さんを一目見たくて…」と2人の活動スケジュールを調べ、街頭演説を聞きに来る人もいました。 さらに大塚氏を苦しめたのは、SNSに広がる“デマ”です。選挙戦が始まった当初から「敬老パスの拡充」を主張していたにもかかわらず、SNS上には「大塚氏は敬老パスを廃止する」などと嘘の情報が飛び交っていました。対策のため、デマの内容を打ち消すようなポスターやチラシを新調したり、動画を作成するなどの対応に追われることに。大塚氏は「選挙に影響が出ている。民主主義の危機といってもいい。」と頭を悩ませました。
一方、広沢氏はSNSの追い風を感じていました。選挙活動の様子をこまめに発信し、公職選挙法で街頭活動が規制されている夜8時以降も動画投稿サイトで河村氏とともに視聴者の質問に答える生配信をするなど、SNS戦略に力を入れました。選挙戦の後半には、広沢氏の活動を追いかける配信者が現れ、ネット上で話題にされるようになったといいます。広沢氏は「この1,2年、SNSが選挙を動かす流れができてきた感はある。発信の仕方が今までは街頭(が主流)だったけど、街頭とネットと同じくらいやらないと勝てない。」と話しました。追い風の反面、河村氏はSNSのあり方に疑問を感じていました。「不思議なのはこんだけ公職選挙法で文書の発行とかには厳しい制限があるが、SNSは全く自由。この辺はどうなっていくか知らんけど。」
■広沢氏 約13万票の差をつけ圧勝
投開票当日の11月24日。投票締め切りの午後8時、各社が出したのは、「広沢氏 当選確実」の速報です。結果は、広沢氏が大塚氏に約13万票差をつけ圧勝。中京テレビと読売新聞が共同で行った出口調査によると、広沢氏は無党派支持層の約5割からの支持を集めました。当選確実の報道と同時に、河村氏にはおなじみの勝利の“水かぶり”を披露し、喜びを語りました。「河村市長の政策と理念を引き継ぐというこの一点で私は勝負したので、それが有権者の心に響いたんだと思いますね。名古屋市民の15年間河村市政に対する信任が厚かったんだなというのが一番だと思います。」