ドーナツ市場のガリバー・ミスタードーナツがV字回復…¥100やめてコラボ、商品力でファン定着
今後も好調を維持できるのか。岩井コスモ証券の有沢正一・投資調査部長は「定番商品の人気が長く続いており、新鮮な企画をいかに出していけるかがポイントだろう。新規出店が多くなるとどこかで緩みも出てきがちで、店舗での品質管理なども重要となる」と指摘する。
韓国発「ボンタン」、不二家も専門店…差別化がカギ
調査会社の富士経済によると、2023年のドーナツの国内市場規模は、前年比16.7%増の1360億円と、コロナ禍を経た21年以降、3年連続で拡大した。ミスタードーナツと、米クリスピー・クリーム・ドーナツの上位2チェーンが市場を先導する。 国内にドーナツが根付いたのは、ミスドやダンキンドーナツが米国から上陸した1970年代だ。ダンキンは98年に撤退したが、2006年には、持ち帰りを基本とするクリスピーが新たに参入した。 14年には、セブン―イレブン・ジャパンをはじめとするコンビニエンスストア各社が本格参入し、市場は戦国時代を迎えた。コンビニ各社は、レジ横に専用ケースを設け、コーヒーのお供として販売する戦略だった。 だが、市場が飽和状態となり、消費者の飽きを招く結果となった。コンビニ各社は思惑通りに販売を伸ばすことができず、2年ほどで、個別包装にしてパン類と一緒に陳列する形式に戻した。富士経済の松田壱成氏は「からあげなどほかの揚げ物もある中で店側の負担が大きかった。商品力でも2チェーンに分があった」と分析する。 最近の市場拡大を受け、新たな参入の動きも出始めている。23年12月には韓国発でSNS映えするドーナツが人気のチェーン「ボンタン」が国内初出店し、全国で5店舗を運営している。今年9月には、不二家も専門店の展開を始めた。 松田氏は「付加価値の高いメニューの提供が、差別化のカギを握る」と指摘する。