富山-金沢で走行試験、「北陸新幹線」自動運転システムの全容
JR西日本とJR東日本は19日、北陸新幹線の自動運転の走行試験を富山―金沢間で実施した。走行試験では開発中の自動運転システム「省エネ運転支援装置」について、自動的な加減速や通過、停車の定時性、正確な停止位置、走行電力量の省エネ効果などを確認。自動運転実現に向けて走行制御機能の課題を抽出し、開発を進める。 【写真】北陸新幹線の自動運転システム JR西日本がJR東日本と協力して開発を進める自動運転システムは、運転士が出発ボタンを押すと、走行区間のトンネルや勾配など条件から演算して最適な運転パターンを作成。停止位置に近づくと徐々に減速し、地上子により停止位置までの距離を把握しながら自動制御して停止する。停止時の操作は必要ない。省エネ運転も追求しており、空気抵抗を考慮し、惰行時間を長くするなど、従来に比べ、電力消費量を5―10%低減することを目指している。 走行試験は富山―金沢間を19分で走行する設定で実施。運転士が出発ボタンを押すと、自動でゆっくり起動し、走行を開始した。途中の新高岡駅は設定よりも2秒早く通過し、金沢駅には、所要時間18分59秒と誤差はわずか1秒で到着。44センチメートル手前の位置で停車し、現在の目標であるプラスマイナス50センチメートルの範囲内に収まった。 JR西日本は2029年度に敦賀―金沢間で自動化レベル2(GOA2)での自動運転開始を目指しており、運転士の負担軽減により、人手不足などの社会課題に対応する。今後の開発についてJR西日本の折中啓也常務執行役員は「理屈上はシステムを作り込んでいるが、走ると課題が見つかる。これからも試験を重ねて一日も早く自動運転を実現したい」と意気込んだ。