「値引き常態化」iPhoneの中国不振がいよいよヤバい、売れない「本当の理由」
「iPhone 16」より「iPhone 16 Pro Max」が売れるワケ
性能が優れた機種はもちろん売れる。たとえば、天風国際証券が調査したiPhone 16シリーズの予約状況では、最上位モデルiPhone 16 Pro Maxの割合が全体の46%にもなった。iPhone 16 Proは26%で、上位2モデルで全体の72%にもなる。 iPhone 16 Proは各メディアとも非常に高く評価している。特に動画撮影の手ぶれ補正機能が高く評価され、他機種を圧倒する評価が与えられている。多少の手ぶれであれば吸収してしまうし、アングルを急に変えても、滑らかに移動し、映像が飛ぶようなことがない。 また、デフォルト設定で自然な美しい発色になる点も評価が高い。映像の美しさではiPhoneを超える機種も登場してきているものの、細かく専門的な設定が必要になる。 中国では消費者向けビジネスを行う企業がライブコマースや動画投稿を行うのが当たり前になっており、一般人でも副業としてセルフメディア運営を行い、動画投稿をする人がたくさんいる。そのような人たちに、iPhone 16 Proは撮影機材として選ばれている。
中国でiPhoneが選ばれない本当の理由「その1」
一方、標準モデルであるiPhone 16、iPhone 16 Plusは選ばれなくなっている。性能面で中国メーカーに負け始めているからだ。というより、中国ではスマホの進化がいまだに続いている。iPhoneが決定的に後れを取り始めているのは主に2つの点だ。 1つはデバイス連携だ。iPhoneはMacやiPadとの連携がスムーズで、データをクラウド共有したり、AirDropで簡単に送信することができる。アップルデバイスを好む人は、この連携のしやすさを高く評価している。 しかし、ファーウェイは独自OS「HarmonyOS」で、この連携をより洗練された形で実現した。送信のための操作は特に必要がなく、スマホのアプリ画面をフリックして別デバイスのほうに投げると、そのデバイスにアプリ画面が現れる。 HarmonyOSは、スマホ、タブレット、PCなどで同一のOSが動いているが、アップルはiOS、iPadOS、MacOSとデバイスによりOSが異なっている。HarmonyOSではどのデバイスでも同じアプリが動くが、アップルの場合はそれができない。そのため、送受信する、クラウドを介するという操作がどうしても必要になる。 さらに、HarmonyOSは電子機器だけでなく、テレビや自動車でも動作し、周辺機器などでも対応製品が登場してきている。スマホで映画を探して、それをテレビに投げて大画面で楽しむ、駐車場に停めてある車をスマホで呼び出して自動運転で自分の目の前に召喚するということがすでに可能になっている。連携の面では、スムーズさと広がりでアップルを超えている。 2024年11月にファーウェイが発売したスマホ「Mate 70 Pro」では、手のひらの動きで写真を転送するというユニークなギミックが搭載された。写真が表示されているデバイスの前で手のひらを握り込むと写真が転送モードになる。そのまま、別のデバイスの前でこぶしを開くと写真が転送される。自分が所有しているデバイス間だけでなく、他人のデバイスにもこの方法で写真を転送することができる。 デバイスに手を触れることなく、写真を転送できるのだ。インサイドカメラで手の動きを認識して、データ転送をしているだけだが、話題性は高く、ファーウェイのデバイスが簡単にデータを転送できることを印象づけることになった。