スタバで「フラペチーノ」飲む人が知らない“真実” コーヒーにこだわっているはずのスターバックスが「コーヒーじゃない看板商品」を持つ凄さとは?
ここにもしっかり「コーヒー」という言葉が入っているのがわかるだろう。コーヒーへのこだわりこそ、スタバの1つの軸を作っているといってよい。 しかし、スタバによく訪れる人がいるなら思い浮かべてほしい。今のスタバが強く押し出し、いつも話題になっている商品はなんだろうか? それはフラペチーノである。氷菓子を表す「フラッペ」にイタリア語風の接頭辞がついているこの商品は、現在のスタバの中核を成す商品で、月ごとに売り出される限定味は、スタバユーザーの中でも大きな話題となる商品の1つだ。メロンがふんだんに使われた「The メロン of メロン フラペチーノ」や、全国各地の名産品が使われたフラペチーノはSNSなどでも大きな話題を呼んだ。
しかし、このフラペチーノは、本場イタリアのコーヒー文化にはまったく存在しない商品である。それどころか、凝縮された苦味を楽しむコーヒーやエスプレッソに対して、甘さが際立っている点においては、正反対の商品だといってもいい。また、中にはコーヒーやエスプレッソがまったく入っていない商品もある。 これを評して評論家のブライアン・サイモンはこう言う。 「利益追求に打ち込むスターバックスは、砂糖とミルクたっぷりのドリンクを目玉とするフラペチーノ・カンパニーになってしまった」(『お望みなのは、コーヒーですか? ──スターバックスからアメリカを知る』より)
本物のコーヒー文化を追求し、それをコーポーレート・アイデンティティとするはずのスターバックスは、実は「フラペチーノ・カンパニー」だという。なるほど、ここにも一種の矛盾があるだろう。 ■スタバはサードプレイスなのか? あるいは、スタバが掲げる店舗コンセプトである「サードプレイス」という概念もまた、矛盾に満ちている。 サードプレイスとは、社会学者のレイ・オルデンバーグが提唱した概念で、自宅でも職場でもない、第3の居場所のことを示す。そこで人は、普段の生活の役割から解放され、さまざまな人と自由気ままに交流することができる。