【選手権】“守備の東福岡”と“攻撃の前橋育英”の攻防
1月11日、第103回全国高校サッカー選手権大会の準決勝が国立競技場で行われる。12時5分キックオフとなる第1試合で顔を合わせるのは東福岡と前橋育英だ。互いにU-18高円宮杯プレミアリーグに所属しており、東福岡はWESTで8位、前橋育英はEASTで6位に入り、来季の残留を決めた。 互いにインターハイ、選手権で日本一の経験があり、長きに渡って高校サッカー界を牽引してきた存在。互いに攻撃力を伝統的に武器としてきたが、今年のカラーを踏まえると、“守備の東福岡”と“攻撃の前橋育英”の攻防になることが予想される。 東福岡は予選の3試合を含めて、7試合連続で無失点を記録。191cmのGK後藤洸太(3年)、185cmのCB大坪聖央(3年)、180cmのCB山禄涼平(3年)を中心とした守備陣が鉄壁の守りを見せている。空中戦に強い大坪、カバーリングに秀でる山禄が組むCBコンビの安定感は抜群。左SBの柴田陽仁(3年)もリーダーシップがあり、コーチングと粘り強い守備で最終ラインを支える重要人物だ。高い位置からのプレスも組織的で1トップのFW伊波樹生(3年)が追い込みをかけ、2列目も連動しながら圧をかけていく。同サイド圧縮の守備も効果的で、左右へのスライドも速い。攻撃陣が今大会4試合で3ゴールと物足りなさがあるものの、伝統のサイドアタックは健在。左の神渡寿一(3年)、右の稗田幹男(3年)はスピードと打開力があり、途中出場がメインとなるMF児玉愁都(3年)も創造性豊かなプレーで魅せる。攻守を素早く切り替え、相手の状況が整っていないうちに局面を打開できれば、ゴールの可能性はグッと高まるはずだ。 一方の前橋育英は攻撃力を特徴に持つ。キャプテンのMF石井陽(3年)が中盤の底で舵取り役を担い、ショートパスを多用しながら相手陣内に入り込む。前線には多彩な役者が揃っており、個性的なプレーヤーがゴールを陥れる。右サイドハーフのMF黒沢佑晟(3年)はスピード、左サイドハーフの平林尊琉(2年)はテクニックで勝負できるタイプで、2トップの一角に入る佐藤耕太(3年)は身体を張ったポストプレーでタメを作る。そして、FWオノノジュ慶吏(3年)が最前線に構えているのも心強い。圧倒的なスピードと当たり負けしない身体の強さを持つストライカーで今季はU-18高円宮杯プレミアリーグEASTで得点王に輝いている。今大会もここまで4ゴールを奪っており、特に準々決勝の堀越戦(1-0)では決勝点を奪った。勝負強さも兼ね備えており、準決勝でも背番号8を背負うストライカーがキーマンになる。脆さを見せていた守備陣は2、3回戦で2-0から追いつかれる試合運びを見せたが、準々決勝では無失点。尻上がりに調子を取り戻しており、準決勝も集中力を切らさずに戦いたい。 “赤い彗星”か“上州のタイガー軍団”か。伝統校同士の一戦から目が離せない。 (文・写真=松尾祐希)