痛みがなくても要注意!膝トラブルの予兆「ひざ音」をセルフチェック
痛みがない人も要注意!「ひざ音」に注目を
コロナ禍を経て運動不足に、また涼しくなり急に運動することで、膝トラブルに悩む人が増えています。痛みはなくても、膝がポキポキと鳴る「ひざ音」がトラブルの予兆の場合も。ひざ痛予防のためにできる予防法を、関町病院院長・丸山 公さんにお聞きました。
取材・監修:丸山 公さんのプロフィール
まるやま・こう 医療法人社団遼山会関町病院院長。 日本大学板橋病院、駿河台日本大学病院を経て、カナダトロントTGH、MSHで、D.L.Mac Intosh教授、R.W.Jackson教授から膝外科を教わる。春日部市立病院、横須賀市立市民病院、心身障害総合医療療育センター、公立阿伎留病院、日本大学医学部整形外科講師、教育医長を経て、1999年より関町病院副院長、2001年より現職。 同病院には全国から膝に問題を抱えた方々が訪れる。日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会スポーツ医。専門は肩、変形性膝関節症、小児整形外科。
膝トラブルのリスク上昇中!予兆となる「ひざ音」に注意
コロナ禍を経て、そのまま家にこもりがちの方が増えています。長い間、体を動かさないでいると、骨や関節、筋肉などの衰えを招き、生活習慣病や認知症のリスクが高まります。 また、運動不足ににも注意が必要です。みなさんの中にも、体重の増加が気になっている人はいませんか? 実は今、運動不足解消やダイエットのためにと、急にランニングなどの負荷が高い運動を始めた結果、膝を傷めて来院するケースが増えています。 特に気温が上がる春は運動を始める人が多い時期。日中の気温の変化も多い季節なので、膝への刺激に注意したいシーズンです。 一番問題なのは、膝を傷めた後も「少し経てば治るだろう」と放置してしまうこと。長年、膝にトラブルのある患者さんを診察していると、立つ・座る・歩くなどの日常生活動作が難しくなってから来院する方が多いことに驚かされます。 しかし、半月板や軟骨が原因となる膝トラブルは、1か月ぐらい休んだからっといって、完治するものではありません。筋痛(筋肉痛)はある程度休養すれば元に戻りますが、一度破壊された軟骨は時間が経っても自然に元には戻らないのです。 私が膝の鳴る音「ひざ音」に注目したのも、「もっと早く来てもらえたら膝の病気の悪化は防げるのに」と、常々思っていたことがきっかけでした。 ある調査では、日本全国で膝痛(ひざつう)に悩んでいる患者数は3000万人に上ると言われ、50歳以降の男女比(患者割合)は、女性が男性の1.5~2倍と報告されています。 また、40代から70代の膝に違和感がある男女400人を対象とした調査では、痛みはなくても音や違和感を覚えているのは40代男性が最も多く、40代の女性でも半数が「何らかの膝の違和感や音を感じたことがある」と答えています。 この調査からも、膝の音は膝のトラブルを知らせるアラームになっていることがわかります。