財政再建に必要な消費税は何%? 「限界」近づく財政 法政大学・小黒一正准教授に聞く
財政破綻したらどうなる?
では実際に財政が破綻したらどんなことが起こると考えられるのか。小黒氏は、行き着く果ては「ハイパーインフレではなくても、高いインフレーション」だと予測する。 「増税しても限界があって、でもデフォルトするかといってもできない。おそらくインフレになる。20%か、30%か。10%かもしれない。でも10%でもみんな悲鳴を上げる。それが何年で終息するかは分からない。金利が上がったりしたら企業は倒産するだろう。でもその後も社会保障改革など歳出削減はしていかなければならない」 海外に巨額の資産があるなどお金を持っている人は大きなチャンスだ。しかし、「可哀想そうなのは真面目にやってきた人や弱者がみんなひどい目に遭う」と懸念する。
経済成長で財政再建は可能?
経済成長率を上げることで財政再建できるという見方がある。これに対して、小黒氏は「増税、歳出削減、経済成長の3つを同時に行っていかなければならない。経済成長だけで財政再建は不可能」と訴える。 小黒氏は「『実質経済成長率』はこれからそんなに上がるはずがない。長期的には供給サイドで決まる。公共事業をやれば別だが」と見通しを語る。実際、50年後の日本経済を展望する政府の「選択する未来」委員会の最終報告書(2014年年11月公表)は、人口減を放置し、生産性も低迷した場合、2040年以降、年平均でマイナス0.1%程度の低成長に陥るとの試算を明らかにしており、2030年頃にはマイナス成長になるかもしれないとの民間シンクタンクの試算もあるという。 また、アベノミクスの異次元緩和でインフレを起こすために注力しているが、「無理やりインフレを起こせば『名目経済成長率』は上がる。だが、こんなにすごいこと(異次元緩和)をやっているのに、消費増税の物価上昇分を除けば、まだ1%程度のインフレしか実現できていない。名目成長率はそんなに簡単には上がらない」と指摘。日銀が、財政赤字を穴埋めするために国債を大量に買い取ることを指す「財政ファイナンス」を本当に行えば別だが、「政府は経済成長を自由自在にコントロールすることはできない」という。