ビットコイン、9万3000ドルを割り込むも、トレーダーは短期的な反発を予想
マクロ的な不安と世界的な国債利回りの上昇が暗号資産価格の急落を加速させるなか、ビットコインは1月8日、2025年初頭の上昇分をすべて帳消しにした。 時価総額最大の暗号資産(仮想通貨)であるビットコインは、米国取引時間中にセッション最安値の9万2600ドルまで下落し、6日の10万2000ドル超のピークから2日間で10%近く下落した。その後はいくらか回復し、直近では9万4300ドルで取引されているが、それでも過去24時間で2.5%下落している。 カルダノ(ADA)、レンダー(RNDR)、アプトス(APT)は、広範な市場のベンチマークであるCoinDesk 20 Indexの中でも値下がりを牽引し、同期間に3%以上下落した。 CoinGlassのデータによると、2日間の激しい急落により、暗号資産全体で約10億ドル(約1580億円、1ドル=158円換算)相当のレバレッジを効かせたデリバティブのポジション、その中でも主に価格上昇に賭けたロングポジションが清算された。 この暴落により、ビットコインは一時的に年初の価格を下回ったが、直近の価格では、1月1日の始値から1%上昇している。 暗号資産関連の株価も打撃を免れていない。テラウルフ(TeraWulf)、ビットデジタル(Bit Digital)、ビットディア(Bitdeer)、アイレン(IREN)、ハットエイト(Hut 8)など、ビットコインマイナー数社の株価は、5%~8%下落している。 マイクロストラテジー(MicroStrategy)に倣ってビットコイン保有戦略を採用した医療機器メーカーのセムラー・サイエンティフィック(Semler Scientific)の株は、1日を通して10%近く下落。現在は1週間では15%以上値下がりし、12月下旬の高値からは約40%下落している。マイクロストラテジー株は8日、2.2%下落した。 タカ派的な米連邦準備制度理事会(FRB)、急騰する長期国債利回り、粘着質なインフレ指標、米政府閉鎖の可能性など、リスク資産にとってマクロ的な逆風が吹き荒れる可能性があり、複数のアナリストが暗号資産トレーダーに対して、厳しい1月を警告した。 全資産が反落に転じるきっかけとなったのは、7日に発表された強い米経済指標で、投資家は年内の利下げ観測を後退させた。 注目すべきは、クリストファー・J・ウォラー(Christopher J. Waller)FRB理事が8日、年内の追加利下げを支持し、ドナルド・トランプ次期大統領が発動する可能性のある関税によるインフレ懸念を和らげる発言をしたことだ。しかし、CMEのFedWatchツールが示すように、投資家の金利見通しはさほど変わらなかった。 米国時間8日午後に発表されたFRBの最新の政策会合の議事録では、インフレの上振れリスクが高まったとの見方が大勢を占め、トランプ次期大統領の関税政策が物価水準に従来の想定以上の影響を及ぼす可能性があるとの懸念も示された。