難聴やてんかん、PTSDなど…10人に1人はいると言われる“目に見えない障害”
目に見えない障害とは?
目に見えない障害(非顕在性障害と呼ばれることもある)には、本人も驚くような幅広い慢性疾患が含まれる。一例として、米国の障害者支援団体The Center for Disability Rightsが指定した目に見えない障害のリストに含まれるのは、学習障害、難聴、自閉症、補綴、外傷性脳損傷、メンタルヘルス疾患、双極性障害、糖尿病、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、線維筋痛症、関節炎、アルツハイマー病、不安障害、睡眠障害、クローン病、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、てんかん、多発性硬化症、嚢胞性線維症など。 非顕在性障害のサポート団体Invisible Disabilities Associationのエグゼクティブディレクター、ジェス・ステインブルックのもとには、『〇〇病や〇〇病は目に見えない障害ですか?』という質問が頻繁に寄せられる。「そのような質問に対しては『その病気のせいで日常生活に何らかの支障が出ていれば、そうでしょう』と答えています。非顕在性障害は目に見えませんが、特別なサポートを要するだけの支障をきたします」 いかなる疾患も厳密に言えば障害であることを認識し、その事実を受け入れるのは簡単なことじゃない。そもそも障害という言葉自体に喪失や欠損というイメージがあるので怖い。そして、現代社会では、一部の能力が欠けているだけで他の人より劣っていると思われがち。 「私たちは障害者であることを罰する社会に生きています」と語るのは、ライターで障害者を支援する活動家のイマニ・バーバリン。「普通に暮らして家や食糧、リソースを確保する能力は、その人の生産能力に直結するので、みんな障害者と認定されるのを嫌がります」 目に見えない障害と慢性疾患を持つ人は「急に体調が悪くなって、治療を受けて、回復する」という通常のプロセスを踏めない分、他の人より苦労する。重症度や症状の出方が日によって違うことも少なくない。2~3km歩いて市場へ行き、ランチを食べてから映画を観ることができる日もあれば、疲れすぎか痛すぎで何もできない日もある。Unfixed Media創業者のキンバリー・ワーナーによると、これはなかなか理解されない。「現代人には、慢性疾患の不確実性を受け入れるだけのゆとりもありません」