難聴やてんかん、PTSDなど…10人に1人はいると言われる“目に見えない障害”
いまこそ変革のとき
目に見えない障害を抱える人がかつてないほど多いいまなら、私たちのニーズも注目を浴びやすい。「コロナウイルス感染症は目に見えない病気でした。後遺症の件数もいまだに増え続けているので、目に見えない障害の認知度は高まっているはずです」とワーナー。「これはよいことであると同時に悲劇的。苦しんでいるのに必要なケアが得られない人は想像以上に多いですから。見たところは問題がなくても内面は辛くて仕方ないことを医師だけでなく、家族や友人までもが分かってくれないケースは少なくありません」 コロナウイルス感染症の後遺症に関する初期の報告書も、あのパンデミックを大規模な障害を引き起こす出来事として位置づけていた。米国労働統計局が16歳以上の一般市民のデータを分析したところ、障害者と認定された人の数は2020年から2021年までの1年間で120万人も増えていた。労働人口における障害者の数も49万6千人増加した。これは、理解やアクセスの格差に苦しみ、自分のコミュニティを切実に求めている人が増えていることを意味する。 「この社会で暮らしていれば、すぐにでも“普通”の状態に戻りたいと思うのが自然です」とバーバリン。「100%回復する人もいますが、コロナウイルス感染症の後遺症にかかった人の大半は、障害者になったことを受け入れなければなりません。自分の置かれている状況を客観的に見て、障害者の歴史や文献、体験記を読んでみましょう。広い意味では自分も障害者であることが分かるはずです」 私にとって目に見えない障害を受け入れるとは、障害者の擁護団体の豊かな歴史を学び、自分のコミュニティを見つけて、“普通”はスタンダードではなく概念の1つに過ぎないことを理解するプロセスだった。「私の場合は治らないことを知り、この疾患と共に生きると決めたら気持ちがラクになりました」とワーナー。「過去の扉を閉めたことで、自分がこうあるべきと思う自分ではなく、ありのままの自分自身と付き合えるようになりました」 ※この記事は、アメリカ版『Prevention』から翻訳されました。