<ラグビーW杯>エディジャパンに奇跡を呼ぶ「85年世代」
いよいよラグビーの日本代表チームのワールドカップの予選プールBの最終戦が近づいている。過去優勝2回の南アフリカ戦で“世紀の番狂わせ”をやってのけ、サモア戦では、日本の歴史を塗り替えるワールドカップの2勝目をマークした。だが、ボーナスポイントが加えられる勝ち点の関係上、スコットランドが10日のサモア戦に勝てば、その時点で、11日のアメリカとのプール最終戦(グロスター・キングスホルムスタジアム)を前にしてジャパンのベスト8進出は消滅する。そうなったとしても、ワールドカップに3勝目を刻めば、4年後に続く、大きな足跡を残すことになる。 その日本代表にあって光っているのが、「85年世代」。1985、86年生まれで、29、30歳の五郎丸歩、畠山健介、堀江翔太、山下裕史、山田章仁の5選手のことだ。その中の4人は、早生まれの田中史朗とともに、2004年の19歳以下(U19)世界選手権で強豪スコットランド代表を破った経験があり、若くから期待されてきた。 なかでも注目されているのが、フルバックの五郎丸だ。 早大時代に3度の大学日本一に輝き、初代表は19歳の頃だった。ジョーンズHC体制下では副将を務め、テストマッチ(国際間の真剣勝負)は47試合中45試合に出場。端正な顔立ちとプレースキックの際の“忍者フォーム”で、いまや「時の人」となりつつある。10月3日のサモア代表戦(ミルトンキーンズ・スタジアムmk)を26-5で制した折は、対戦相手が選ぶMVPを受賞したようだ。自身のツイッターでその喜びを明かしている。 五郎丸とは早大時代の同級生だった右プロップの畠山は、現代表2位の71キャップ(テストマッチ出場数)を記録する。今春はリーチ マイケルが南半球最高峰スーパーラグビーを戦う間、代理でジャパンの主将を務めていた。 そのスーパーラグビーでプレー経験のあるフッカーの堀江は、五郎丸とともに副将を務める。件のサモア代表戦で右プロップの畠山らと連携してスクラムをリード。前半24分には敵陣ゴール前左中間で押し込み、ペナルティートライを演出した。身長183センチ、体重122キロと巨漢の山下は、京産大出身の右プロップ。殊勲の1本を組んだ同級生の畠山以上に、スクラムで高い評価を受けている。 サモア代表戦の勝利を決定づけたのは、ウイングの山田だ。ハーフタイム直前、相手の目の前で回転してトライを奪った。代表デビューが29歳とこの5人のなかでは最も遅咲きだが、その分、この世代の選手たちの成長に驚きと嬉しさを感じている。やっと代表に定着した2014年夏、こんな風に言っていた。 「ゴローも、ハタケも…。比較的、年齢が近い選手がリーダーシップを取っていて、頼もしいなと思いました。嬉しいですよ。同じ年代として」