シーズン中の電撃移籍は消滅?!今一度大谷翔平のトレードの可能性を検証してみた…トラウトの動向まで連鎖
ただ、ある程度、年俸総額の削減は可能だ。動かしやすいのは平均年俸1450万ドル(約20 億円)のクローザー、イグレシアス。今季のプレーオフ出場が遠のいたいま、すでにトレードの打診が来ていてもおかしくない。セットアッパーコンビのテペラ(年俸700万ドル=約9億6000万円)とループ(年俸850万ドル=約11億7000万円)も放出候補。来季はオリバー・オルテガとホセ・キハダで十分に彼らの穴を埋められる。 問題は負傷者リスト入りしているレンドーン。残りの契約額(約1億5400万ドル=約212億円)の半分を負担しても引き取り手があるかどうかだが、彼の場合、モレノ・オーナーが大学時代から獲得を目指してきた“オーナー案件”だけに、そもそも手を出しにくい。レンドーンがライス大でプレーしているとき、同大学でアスレチック・ディレクターを務める友人からドラフトでの指名を勧められたが、2011年のドラフトでは先にナショナルズに指名されてしまった。モレノ・オーナーにとってレンドーン獲得は、それ以来の悲願だった。 よってそこは動かせないとしても、7月中、もしくは今オフの早い時期に、イグレシアス、テペラ、ループのリリーフ陣を動かせれば、来季は約3000万ドル(約41億円)をセーブでき、大谷の年俸の原資とすることができる。 もちろん、当面の予算をなんとか確保できても、来季以降、チームはプレーオフを目指せるのか。大谷としては年俸よりもそこを重視するはずで、その場合の課題は、先発陣だ。 大谷と再契約するなら、年俸が2000万ドル(約28億円)を超えるであろうノア・シンダーガード投手との再契約は断念せざるをえない。一方で、マイケル・ロレンゼン投手の相場は600万(約8億円)~800万ドル(約11億円)なので、その程度の額ならキープは可能。となると来季の先発ローテーションは、大谷、パトリック・サンドバル、ロレンゼンが表で、リード・デトマーズ、チェイス・シルセス、ホセ・スアレス、ジョナサン・ディアス、グリフィン・キャニング、ジェイミー・バリアらが裏ということになるが、やはり表が弱い。 マイナーにサム・バックマンというパワーピッチャーがおり、彼が来季のローテーションに加わるようなら面白いが、現時点では腰を痛めて戦列を離れており、計算できない。ジョー・アデル外野手をトレードして、即戦力となる若い先発投手を獲得できれば理想だが、いまのアデルにそれだけの価値があるかどうか。 結局、大谷に回す予算に目処が立ったとしても、彼と再契約をすることが優勝を狙える戦力を揃える障害となるのは皮肉で、よって大谷をトレードしてプロスペクトを4、5人獲得し、再建へ舵を切るべきでは? というロジックが成り立つのである。