「膝のアザが治らない」その後、余命3ヶ月と宣告された男性 想像できる痛みがすべて同時に起き…元俳優を襲った病とは
未来の光を信じて
闘病生活は無菌室で過ごし、病気と向き合ったえびなさん。自身が想像する痛みがすべて同時に起きるような、苦しさやつらさがあった闘病生活だったと言います。 悲観し、絶望してしまいそうですが、えびなさんは違いました。 「下向きに過ごしていても現実がよくなるわけでもない。家族やSNSなど、さまざまなところから元気玉をもらった私は前を向き『未来は明るい』と信じ『これもまた過ぎるだろう』と、永遠なんていうものは世の中にないことを逆手にとりました。つらい現実はいつか過ぎ去る。一過性なものだと考えると、未来の光を信じて病と向き合いました」 より一層、命とは何か、生きるとは何か、幸せとは何かと考えるようになったえびなさん。命が短いと医師に告げられることは、20代のえびなさんには過酷な現実でした。 4年間に渡る長い闘病生活を経験したえびなさん。完全に治ったわけではありません。その他にも、治療後の影響により6つの病を持っています。 苦しくつらい経験だったと思いますが、得られたものもあったようです。 「個人の体験としては経験しなくていいものだと思っています。つらい経験は誰だってしたくないですし、しないほうがいいです。でもその反面、闘病生活があったからこそ、人の温かさをダイレクトに感じることもできました。また、人は1人では決して生きていけないと改めて心の底から思えることができました。いいことも悪いことも経験している深さが深ければ深いほど、その人の厚みのような、深みのような何かにじみ出るものを増す大切な体験だとも思っています」 えびなさんのコメントからは、強さを感じました。嫌な記憶としてだけではなく、その体験から何を得ることができたのか考えるのは、誰でもできることではないでしょう。
他の人のために
えびなさんは、病名が判明してからSNSで発信するまで、約10ヶ月の期間が空きました。そこには、周りに心配をかけたくなかったという理由が1番にあったそう。 しかし、余命宣告をされたことをきっかけに、病と向き合い前を向くことの決意表明は、きっと誰かのためになれると信じ、えびなさんは発信を決意しました。 SNSへ投稿をはじめてみると、予想以上に「頑張れ」「勇気をもらってる!」とコメントをもらったえびなさん。SNSでの発信は、えびなさんをさらに前向きにしてくれたようです。 「人のためにと思って始めたことが、逆に自分にとっても病と闘う勇気や活力、エネルギーとなってより一層生きるという思いが強くなりました」 「他の人のために」えびなさんがこう考えるようになったきっかけがあります。社会に出てから、俳優を経験したえびなさん。CMやドラマに出演したときも、家族や友人が「えびちゃんの活躍に、元気をもらってるよ!」と言ってくれたことに幸せを感じました。企画営業の職に就いたときもオーディションを企画し、夢を持っている人のために仕事をしていると幸せを感じたそうです。 「病になったときも『自分のために生きる!』だと活力がみなぎらなかったんですよね。自分のためなら、こんなにつらい治療とは向き合えないなという思いもしました。 でも『人のために生きる』と考えると、いかなる環境でも強く生きることが可能なんだと気付いたのです」 えびなさんが生きることに希望を持ち続けたのは、周りに人がいたからでした。誰かのためになっていることが、自身が生きる意味。今もこう思ってえびなさんは生きることに向き合っています。 現在、カフェを経営しているえびなさん。病気になってから食生活を見直し、大豆製品を積極的に取り入れたことが、余命3ヶ月と告げられた事実をいい意味で裏切った成功体験だとえびなさんは考えています。 カフェのコンセプトは『そっと今日が、きっと未来へ』自身の考える正解を押しつけるのではなく、寄り添うお店を作りたいと思い『SOYLOVEU』を立ち上げました。 「私自身、足が不自由であるため重たいものが持てません。作り上げていく過程で、さまざまな人々のサポートがあったからこその当店です。今もたくさんの人に支えられながら踏ん張って営んでいます」と、話すえびなさん。 お客さんからは「健康的で美味しい」と言ってもらえ、とても嬉しく感じているとのこと。嬉しいコメントが日々の活力となり、心を込めて丁寧に商品を作っています。 また、SNSなどでえびなさんの病を知ったのがきっかけで来店してくださった人から「勇気をもらっている!会える場所を作ってくれてありがとう!」など、感謝の思いをダイレクトに伝えられることも。 ともに嬉し泣きをしてしまうときもあるそうで、店内では温かい時間が流れます。 えびなさんは今後、カフェの継続はもちろんのこと、病を抱えながらもできる生き方を体現し、現在さまざまな壁と闘っている人が前向きになる存在になりたいとのこと。 「この記事が、つらい現実は『これもまた過ぎるだろう』またきっと『未来は明るい』と前を向けるきっかけのひとつとなれることを願っています」 えびなさんは今日も自分の人生と向き合います。
ほ・とせなNEWS編集部