「虎の4番」は来季も大山でいいのか? 佐藤輝、森下は本命に待ったをかけろ 「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記
チームの中心打者は残留しました。藤川球児新監督も就任早々の危機を回避し「よかった。うれしい」と喜び、「一緒に頑張ろう」とエールを送りましたが、その後のコメントの中に極めて意味深長な部分があったと思いますね。
「(残留は)すごく強い、大きな駒が自分のところにあるということ」と戦力としての評価を示しながら、打順を聞かれると「非常に効果的な打順に入るので、そこはじっくり煮詰めていきたい」と発言。今季は130試合に出場し、リーグ2位の得点圏打率3割5分4厘をマークした大山の「4番」を明言しなかったのです。
指揮官の腹の内はわかりませんが、来季も「4番・大山」の継続を明言しなかったのは大正解だと思います。なぜなら今季の大山は打率2割5分9厘、14本塁打、68打点でした。昨季は143試合にすべて4番で出場して打率2割8分8里、19本塁打、78打点でリーグ優勝、日本一に貢献しました。打率、本塁打、打点の全てで昨季を下回っています。FA権を行使できるタイミングではなかったなら、今季の年俸2億8千万円という金額はよくて現状維持。数字的には「鉄板の4番」ではなかったはずですね。
■巨人戦で打率5割
チーム内に4番候補が他にいないのなら、大山4番を貫くしかないですね。しかし、今の阪神には佐藤輝と森下がいます。佐藤輝は今季120試合に出場して打率2割6分8厘、16本塁打、70打点でした。プロ4年目で初めて本塁打は20本台に届きませんでしたが、リーグ全体で本塁打数が激減している中では仕方ない数字でしょうか。2年目の森下も129試合に出場して打率2割7分5厘、16本塁打、73打点の数字を残しています。
特に勝負強さという観点で見ると、森下は素晴らしい。プロ1年目の昨季はオリックスとの日本シリーズ7試合で新人最多記録となる7打点。今季もリーグ3位の得点圏打率3割5分1厘を記録し、特に巨人戦では驚異の打率5割を残しています。阪神の4番の系譜を見るならば、藤村富美男、田淵幸一、掛布雅之、金本知憲…と巨人を相手に牙をむき、ライバルの投手陣たちを打ち砕いてきた。そうした観点から見れば、森下は「虎の4番」にふさわしいキャリアをすでに有しているわけです。