【Black Combat】ありえない……3度のローブロー、計30分以上の中断も試合続行の大原樹理が判定負けで王座陥落。メインで右ハイTKO負けの木下カラテのケージ上敗者インタビューも
2024年12月28日(土)韓国・ソウルの高麗大学ファジョン体育館にて、『Black Combat 13』が開催され、危険なレフェリング、大会演出が物議を醸している。 【写真】サウスポー構えの木下にオーソから右から左の“逆ワンツー”で下がらせ、そのまま歩いて右ハイを決めたミンウ 試合前から乱闘騒ぎがあった、今年最後の『Black Combat』。会見で因縁のある“コリアン・ギャングスター”パク・オンシクとキム・ナムシンがFワードを連呼し、オンシクが跳び蹴りを見舞うと、その瞬間がYouTubeのサムネイルに表示され、53万回を視聴。 試合当日には入場の長蛇の列をSNSにアップしていたが、実際は、入場口のチケット交換列と荷物検査の混雑により、スムーズな入場が出来ず、試合開始時間が30分押していた状況で、SNSではその人気ぶりを伝える形となっていた。 事実、韓国では既存の団体に比べて、YouTube配信を中心に、映画的な映像と過激なストーリーで試合まで盛り上げていく見せ方で、Z世代から大きな支持を得ている。日本オーディションでは、戦国時代さながらの陣幕で囲った芝生の上で、ヘッドギア無しのスパーリングが行われ、注目を集めていた。 試合当日の会場では生オーケストラがオープニングを演奏するなど、年末のビッグマッチらしい演出のなか、日本から、大原樹理(KIBAマーシャルアーツクラブ)、山本聖悟(フリー)、駒杵崇大(FIGHT BASE 都立大)の3選手がタイトルマッチに臨み、フライ級の駒杵が王座を獲得。大原は判定負けで王座陥落。山本も判定負けで戴冠ならなかった。 また、メインイベントでは、木下カラテ(和術慧舟會HEARTS)がキム・ミンウ(韓国)の右ハイキックに79秒、TKO負け。宮平守太郎も3Rに失速し、TKO負け。また、DEEPメガトン級王者のロッキー・マルティネスが、93kg契約で元ROAD FCミドル級王者チャ・ジョンファンと対戦。ジョファンが8年ぶりの復帰戦を白星で飾っている。 ドラマチックな展開が続くなか、格闘技大会としては、危険なジャッジと演出が行われていた。 まず、本戦第9試合では、「Black Combatライト級選手権試合」として、日本から元DEEPライト級王者にして、BLACK COMBAT史上初の日本人王者に輝いた大原樹理が出場。地元韓国のムン・ギボムの挑戦を受けたが、これがまさかのムンの3度にわたるローブローにより、失格やノーコンテスト、その時点での判定ではなく、合計30分以上のインターバルが設けられて、大原の回復待ち。試合が再開され、大原が判定で敗れ、ベルトを手放している。 ▼Black Combatライト級選手権試合 5分3R ×大原樹理(KIBAマーシャルアーツクラブ)王者 “ジュリ” [判定0-3] ※27-29×3 〇ムン・ギボム(韓国)挑戦者 “ジグソー” ※ギボムが新ライト級王者に 「BLACK COMBATライト級選手権試合」。大原は2023年9月の『DEEP 115』で「DEEP&BLACK COMBATライト級ダブルタイトルマッチ」を戦い、イ・ソンハに2R スロエフストレッチで一本負け。その後、イ・ファンソンを2R TKOに下すと、2024年1月にファン・ドユンに1R KO負けを喫したが、4月のパク・ジョンホン戦で延長判定勝利。韓国にも大原の激闘を支持するファンが増えていた。そして、2024年9月の前戦で韓国でイ・ソンハと1年ぶりの再戦。2R、ニンジャチョークで一本勝ちでベルトを獲得している。 対する“ジグソー”ムン・ギボムは、ROAD FC、Angel's Fightingで活躍後、DEEPで大山釼呑助に判定勝ち後、横山京亮に判定負けで1勝1敗。その後、AFCで3連勝し、UAE Warriorsにも参戦(NC)。Double GFCで3連敗を喫したが、2024年7月の前戦『Black Combat 11』でチョ。ヤンジュンに右フックからのサッカーキックで1R TKO勝ちしている。 1R、ともにオーソドックス構え。右ストレートを見せる大原。ムンは前蹴り。上下に身体を振りながら前に出る大原に、ムンの蹴りがローブローに。再開。左ハイから入る大原は左ストレートをヒット。しかし、ムンのシングルレッグに引き出されて背中を着くとハーフガードに。 左脇に頭を突っ込みハーフから肩固めを狙うムンはマウントも、ケージを蹴って後転して立った大原。そのバックにつくムンは背後からヒザ。クラッチを切ろうとする大原に右足を差し込み、ボデイロックテイクダウンのムン。亀から立つ大原。ここは力を使うムンが後方に崩してテイクダウン。サイドになるが、ここもケージを蹴って立ち上がる大原。 首をがぶるムンを金網に押し込むが、ヒザ蹴りが再びローブローに。跪き悶絶の大原。大きなブラックの布が大原にかけられ、ドクターチェック。いったんは立ち上がった大原だが、再び座り込み。すでに10分が経過。なんと再開。大原の左ミドルを掴んだムンがダブルレッグに入りゴング。 2R、右ローから入る大原、ワンツーの右をの右で詰めるムンを、ジャブ、左ミドルで押し戻す大原。左ボディストレートのムン。大原はジャブのダブルから右を遠間から突き、右ヒザ! しかし下がらないムンは詰めてボデイロックテイクダウン。 大原の腕十字狙いからのスクランブルの立ち上がりにバッククリンチ。再びヘンゾロックで右足を差し込んで後方に倒してテイクダウン! バックを奪うと大原は亀になって立ち上がり。しかしついていき左足をかけての崩し、さらに再び右足&ボデイロックテイクダウンはムン! 下の大原はキムラスイープを狙うが、潰したムンが上からサイド、マウントに! 大原が正対してリバーサルして上でゴング。 3R、右を当てて前に出るムン。そこに右テンカオを合わせた大原は、右を当てて首相撲ヒザを連打! 押し込むムンにブレーク。ムンは右を当てると、押し戻す大原にムンの左インローが金的に。またもローブローに崩れた大原。股間を押さえ悶絶するがドクターは腰を叩いてレフェリーストップにはならず。この後のメイン・コメインに控える選手たちもアップが難しい状況だ。今回もすでに20分以上が経過している。 再開。左右で詰めるムンに首相撲ヒザの大原! しかし、ムンの前進は止まらず。ワンツーの右。大原も左を返すが、右を被弾。大原の右から左は軸がブレる。組んだムンは四つ組み。左小手の大原を崩してグラウンドでバック狙いのムンを袈裟からパウンド連打の大原! 首を抜いたムンに立つ大原。さらに2度テイクダウンしたムン、大原が下のままゴング。大原の腰に氷嚢があてられる。ローブローによる減点は「1」だというが……。 判定は3-0(29-27×3)でムンが新王者となった。ベルトを巻いたムンは「グラップリングを評価されたと思う。ローブローのせいでファンの皆には申し訳ないと思います。本能的に蹴ってしまった。どうしようもなかった。特に足の長い選手とやるときには。ジュリをリスペクトしている」とコメント。 続いて、すぐに医務室に向かうのではなく、セコンドに肩を借りたまま待たされた大原にもインタビューが行われ、大原は「会場の皆さん、ミアネ(ごめんなさい)。もらった俺が悪かった。何て言っていいか分からないけど、試合に期待してくれた人たちに申し訳なく思います」と語り、韓国ファンからの“ジュリ”コールのなか、ケージを後にした。 2度目のローブローで大原のダメージは明確だった。それでも試合を止めず、3度目にはさらに20分以上のインターバルを設けて、試合再開を待つ間、会場からは「もう止めさせてあげて」という声も挙がっていた。インターバル規定が無いのか、ファイターにとって危険なジャッジだった。