韓国出店で鳥貴族が271分待ちの大行列 過去には吉野家や丸亀製麺が撤退も…日本外食チェーンの進出事情
スシロー新店も盛況 韓国人の5分の1が日本の味を知っている?
鳥貴族のオープンから2日後の9月30日には、韓国10店舗目となる「スシロー」が明洞にオープンした。2011年に初進出し、現在、首都圏に6店舗、釜山市などに3店舗を展開している。特に「永登浦タイムズスクエア店」は、週末ともなると行列ができるほどの人気だ。オープン15日目に明洞の店舗に行ってみたが、やはり昼時には大勢の客で賑わっていた。欧米人観光客の姿も多く見られた。 世界日報が韓国観光公社に調査を依頼し、10月17日に発表した「国民海外観光客統計」によると、今年1月から8月まで日本を訪れた韓国人観光客は581万1,911人。コロナ禍の影響で、2020年には48万7,939人、2021年には1万8,947人、2022年には101万2,751人まで落ち込んだところから、2023年には695万8,494人にV字回復。このペースでいけば、2024年には約1,000万人の観光客が日本を訪れると予想されている。 これは人口に換算すると、韓国人の約5分の1が日本を訪れることになる。それだけの人が“日本の味”を知ったわけで、それを自国でも食べられるとなると、人が集まるのも当然だ。鳥貴族とスシロー明洞店のスタートダッシュは、ニーズを的確に捉えた結果といえる。
過去には吉野家が撤退…キムチを別注文にしたから?
とはいえ、これまで日本の外食チェーンの多くが、韓国に進出するも長続きせずに撤退していた。たとえば「吉野家」は、韓国の大手企業「斗山」と提携し、1996年にソウル地下鉄2号線江南駅に1号店をオープンした。繁華街に130席を構える大型店舗での進出で当初は人気を博し、1997年末までに全国に10店舗を開店する計画も立てられた。 ところが、およそ2年後の1998年4月に、フランチャイズ契約を破棄して吉野家は撤退した。1997年末に通貨危機に見舞われ、韓国の経済状況が悪化し、提携していた斗山グループの負債比率が600%に達していたというのが主な原因だ。一方、吉野家の韓国進出の失敗に、他の理由を見出す指摘もある。 フランチャイズ専門家ユ・ジェウン氏が2000年に出版した『韓国市場のフランチャイズ戦略』によると、吉野家の失敗は「価格は一見、リーズナブルに見えるが量が少なく、韓国では無料で提供されるスープやキムチを別途注文しなければならないため、実際には高く感じられたのでは」と分析している。また「日本での成功だけを信じて、プルコギの味を韓国にそのまま持ち込んだことが失敗の一因」とも指摘している。