もしあの時、W113型SLを買っていれば……。憧れに終わってしまったメルセデスへの想い
TBS前には喫茶店があり、自慢できる類のクルマを持っている人たちが連夜集まり、互いにクルマを見せ合い、盛り上がっていた。 当時の僕の愛車はMGAだったが、まぁ、かろうじて末席に加えてもらうことができた。 そんな場所でも、フェアレーン500 スカイライナーは目立った。クローズド状態でも目立ったが、オープンだとさらに。 そして、HTを開閉させると、溜まり場の人たちはもちろん、TBS前を通る人たちも、ほとんど立ち止まって目を向けた。 スター的存在のクルマが集まる溜まり場でも、巨大なHTを電動開閉するフェアレーン500 スカイライナーは、文句なしのスーパースターだった。1960~61年頃のことだ。 話はMB SLK230 コンプレッサーへ戻る。 上記のように、歴史を辿れば、電動開閉式HT、必ずしも新しいものとは言えない。だが、プジョーからは60年ほど、フォードからは40年ほどの月日が経っている。
だから、SLKを「新しいもの」と感じたのは不思議なことではないだろう。で、僕が「ほしい!」という気にさせられたことも、、。 加えて、、コンプレッサー、、機械式過給機もまた古くからの技術だが、それをMBが復活させたことにも惹かれるものがあった。 効率がどうのこうのといった現実的なことよりも、「コンプレッサー」という言葉の響に心惹かれるものを感じた。 コンプレッサーを搭載した数々の名車の姿が浮かんだりもした。コンプレッサー搭載車を所有したことがあるという「履歴書⁉」もほしかったのかもしれない。 そして最後は、SLKがコンパクトであることが決定打に。コンパクト派の僕と家内にとって「申し分ないサイズ!」だったのだ。
「アメリカン フルサイズが4台駐車できる」というコンセプトで作ったわが家の駐車場に、コンパクトなアルファ 155、アウディ 80アバント、MB SLKが並んだ様は、とてもゆったりしていていい感じだった。 といったことで、SLKはわが家のガレージに収まることになったのだが、最後まで悩んだことがある。 それは、SLKを買った時、もう1台ほしいクルマがあったからだ。いや、SLKを買った時よりもずっと前からほしかったといった方が正しい。 そのクルマは、MB 2代目SL (W113型 / 1963~1971年)。エレガントでスポーティなSL250には、長い間、憧れに近い想いを抱いていた。 とくに、ルーフ中央部を凹ませた独特なデザインのHT、、パゴダルーフを組み合わせたモデルが好きだった。重くて手間のかかる手動着脱式HTだが、カッコいいから問題なし。