「英断すぎる」と拍手喝采! スタバの「賛否両論の紙ストロー」廃止が「消費体験を低下させる”意識高い施策”」からの転換点になる理由
■「飲みづらさ」が問題となってきた紙ストロー 一方、プレスリリースで見逃してはならないのは「飲み心地の良さ」という言葉だ。 というのも、スタバに限らず、かねて紙ストローは「飲みにくい」「使いづらい」という意見が多くあった。 丈夫だとはいえ、紙は紙だからドリンクの水分をストローが吸って、ふにゃふにゃになったり、場合によっては折れてしまう。そうでなくとも、口に触れたときの感触が良くない。 まあ、プラスチック製のストローに我々が慣れてしまっているだけかもしれないが、とはいえ、紙ストローに独特な触感があるのは事実だろう。
今回のニュースが報じられると、反動かのように「紙ストロー」への不満が爆発している様子がSNSで観測された。それぐらい、紙ストローの使いにくさは水面下で不満の種になっていて、スタバが重視する「体験価値」を損ねていたことは間違いない。 今回のプレスリリースで「飲み心地の良さ」が強調されていることを見ると、この問題は同社にとっても解決すべき問題だったことがうかがえる。 そこで登場したのが、今回の「バイオマス素材ストロー」だ。先ほども触れた通り、海洋の中で溶けるため、環境にいいが、同時にプラスチックでもあるから、紙ストローの問題点を解決してくれるものにはなる。
ただ、一般にバイオマス素材ストローは製造コストが高いというデメリットもある。各国でその生産は盛んになりつつあるが、まだ一般的ではないからだ。したがって、スタバにとっては必然的に商品の提供コストが上がってしまうことにもなる。 今後の商品の値上げの要因になる可能性もある変更だが、「顧客の満足度」と「環境効率」の折衷案として、導入が決まったのではないか。 ■矛盾を抱えて成長してきたスタバ 今回の件で「さすがスタバだな」と思ったのは、最近はこうした「意識高い施策」と「顧客満足度」の乖離が明確になってきていて、その中で反動のように「意識高い施策」をやめてしまう企業も増えてきているからだ。