海外の夏季五輪ではともに過去最多となる金２０個、総数４５個のメダルを獲得したパリ五輪。表彰台に上った主な関西出身選手を紹介するほか、大会を取材した記者が感じた五輪の魅力を伝える。 【写真特集】パリオリンピックのメダリストたち

妹の分までやり切る

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「絶対に妹の分までやりきる。もうやるしかないなっていう覚悟が決まった」柔道男子６６キロ級金、混合団体銀の阿部一二三

「次回ロス五輪では兄と２人で金メダルを取りにいく」女子５２キロ級では２回戦で敗れたが、柔道混合団体銀の阿部詩

　金３個を含む８個のメダルを獲得した「お家芸」柔道では神戸市出身の阿部一二三選手（２７）が男子６６キロ級で連覇を達成。自らの本番前、妹の詩（うた）選手（２４）が女子５２キロ級で２回戦敗退し、「絶対に妹の分までやり切る」と２人分の思いをぶつけての栄冠だった。

　ともに出場した混合団体では前回の東京大会に続き決勝でフランスに敗れたが、兄妹合わせて３個のメダルを獲得。前人未到の４連覇を目指す一二三選手はもちろん、詩選手も帰国後「必ずリベンジしたい」とロサンゼルス五輪挑戦を表明。今大会はかなわなかった「兄妹優勝」の夢が膨らむ。

　混合団体では大阪市出身で男子の斉藤立（たつる）（２２）、奈良県橿原市出身で女子の新添左季（２８）の両選手も銀メダルを手にした。

「ノースプラッシュ」でメダルつかむ

「心は揺れたけど、やってきたことを信じた」男子高飛び込み銀の玉井陸斗

　水泳の飛び込みでは、兵庫・須磨学園高３年で兵庫県宝塚市出身の玉井陸斗選手（１８）が日本勢初のメダルをもたらした。男子高飛び込みでは途中で順位を落としたが、最終６本目で得意技をほぼ水しぶきのない「ノースプラッシュ」で決めて銀メダルをつかんだ。

「たくさんの絶望と挫折を味わってきた。一歩踏み出す勇気を多くの人に与えられたとしたらアスリートとして本懐」レスリング男子フリースタイル５７キロ級金の樋口黎

　五輪後も全国高校総体や日本選手権で圧倒的な演技を披露。同選手権で優勝した今月１日には「ロス五輪はもちろん、来年の世界選手権でも金メダルを取れるように完成度を上げていきたい」と先を見据えた。

　大会終盤にメダルラッシュで国内を沸かせたレスリングでは、大阪府茨木市出身の樋口黎（れい）選手（２８）が男子フリースタイル５７キロ級で悲願の金。リオデジャネイロ大会の銀メダリストは東京大会で出場を逃し、過酷な体重管理を経て栄冠をつかんだ。

　今月４日に大阪市内で開かれた出場報告会では「たくさんの方にメダルを触っていただき、多くの人に応援されていたんだと実感した」と笑顔を見せた。京都府京丹後市出身で、男子フリー７４キロ級の高谷大地選手（２９）も銀メダルを手にした。