薄くて暖かい「mont-bell(モンベル)」の最高峰ダウン「イグニスダウン パーカ」の実力
ダウンジャケットを選ぶ基準として、最重要視することは何だろう? 暖かさ、軽さ、コンパクトさ、シルエット、あるいは防風性や撥水性……どんな点に重きを置くかは人それぞれにしても、優れたダウンの条件を頭に入れておくと実際の商品選びの参考になるはず。といった意図を持ちつつ、「モンベル」の多様なダウンの中で防風性と優れた防水透湿性を備えた「イグニスダウン パーカ」について株式会社モンベル広報部の大迫弘尚さんに話を聞いた。
軽いのに暖かいのは、「1000フィルパワー」のダウンの効果
もこもこしているほど保温力は高いが、すっきり着こなすには厚いより薄いほうがいい。「あまり着ぶくれしたくないけど暖かいダウンがほしい」というもっともなニーズは本来、矛盾する欲求だが実現する道はある。素材の選択と技術の向上だ。
「基本的には『ロフト』と呼ばれる『かさ高さ』が大きいほど保温性が高くなるので、暖かさだけを基準にすれば厚手のダウンを選ぶのが確実です。しかし、薄手のダウンのメリットもあります。シルエットがすっきりするし、軽量でコンパクトになるから持ち運びやすい。弊社では用途に応じて極厚手、厚手、中厚手、薄手のダウンを開発しており、『イグニスダウン パーカ』は薄手のダウンの中でも保温力が高いハイエンドモデルです」
街でさっと羽織ったり、暖房の効いた屋内で脱いでバッグにしまったりするのにも適しているようだ。アウトドアの防寒具として携行し、厳しい環境で着用するにも適している。ディテールについては後で聞くとして、そもそもなぜ「イグニスダウン パーカ」は薄手で軽量なのに保温力が高いのか? 「まず、ダウンの『フィルパワー』(FP)が大きく関係しています。『フィルパワー』というのは重量に対してどれくらいの体積があるかという指標で、数値が高いほど少ない綿量で『かさ高さ』つまり保温力を出せることになります。一般的な550フィルパワーのダウンに比べて、『イグニスダウン パーカ』に採用している1000フィルパワーのダウン『EX1000』は単位重量あたりの保温力が当社比で80%アップします」 少量で「かさ高」になる高品質ダウンを採用しているから、一般的なダウンよりも軽くて、コンパクトになり、持ち運びやすい。550フィルパワーのダウンも使う量を増やせば同等の保温力は得られるが、量が多い分だけ重くなり、かさばる。フィルパワーをチェックし、コストとの兼ね合いでどの程度の軽さ、コンパクトさが必要なのかを検討することはダウン選びの基準の一つになる。羽毛布団などでもよく使われる、650フィルパワー以上のダウンは高品質と呼ばれることが多い。