カメラ新機種、熱い商戦…キヤノンはミラーレス初旗艦モデル・リコーは21年ぶりフィルムカメラ
富士フイルム モード簡単切り替え
一方で、写真フィルムの良さを打ち出すのが富士フイルムとリコーだ。富士フイルムは祖業の写真フィルムで培ってきた色味の豊かさを楽しんでもらう機能として、多彩な色調を表現できる「フィルムシミュレーション」を展開している。「当社独自機能による差別化ポイントで、ファンからも好評」(同社広報)と自信を示す。 6月末に発売した初心者でも使いやすいミラーレスカメラ「FUJIFILM X―T50」では、この機能をより気軽に使えるよう、モードを簡単に切り替えられるダイヤルを初搭載した。全20種類のフィルムシミュレーションモードの中から、被写体やシーンに合わせて写真フィルムを選ぶ感覚で多彩な色表現を楽しめる。発売以降「30代以下の若年層から引き合いが強い」(同)という。
リコー フィルムカメラ投入
リコーはフィルムカメラそのものの伝承に力を入れる。子会社のリコーイメージング(東京都大田区)が7月に発売したコンパクトカメラ「PENTAX(ペンタックス)17」は、フィルムカメラならではの操作感を味わえるよう手動の巻き上げレバーを備える。 ファンにとって待望のフィルムカメラ新製品は発売前から予想を大幅に上回る注文があり、「全世界で品薄状態になっている」(同社広報)。現在、同社EC(電子商取引)サイトでは受け付けを一時停止している。 味わいのある色合いや現像するまで結果がわからないワクワク感など、若年層を中心にフィルムカメラ人気が広がる。ただ、フィルムカメラは多くが中古品になり、保守の必要性や価格の上昇といった状況が若者や初心者の楽しむハードルを高くしている。同社が21年ぶりにペンタックスブランドからフィルムカメラの新製品を開発したのもこうした背景からだ。 キヤノンと富士フイルムホールディングス、ニコンはいずれもカメラ事業の好調などを背景に通期業績の上方修正を発表した。スマートフォンの普及で撮影が身近になった一方、より個性を出したい人や本格撮影を楽しみたい人も増えている。多様な撮影ができるカメラが求められる中、各社は独自性で既存ファンの深耕と新規ユーザーの開拓を推し進める。