フォーミュラEシーズン11が開幕。『GEN3 EVO』の初レースは、全車抜きのエバンスが大逆転勝利
12月7日(土)、ブラジルにて2024/2025年ABB FIAフォーミュラE世界選手権の開幕戦『サンパウロE-Prix』が行われ、ジャガーTCSレーシングのミッチ・エバンスが優勝を飾った。 【写真】最後尾からの逆転勝利を飾ったミッチ・エバンス(ジャガーTCSレーシング) シリーズ創設から11年目を迎え、ニューマシン『GEN3 EVO』とともに新たなシーズンが開幕したフォーミュラE。エントラントにも、ローラ・ヤマハABTフォーミュラEチームやクプラ・キロなどのあらたなチームが加わり、11チーム22台が集結した。ブラジル・サンパウロの市街地コースを舞台とする開幕戦は、まずは午前中の予選から実施された。 『GEN3 EVO』から新しく採用された4輪駆動が使用可能となるこのセッションは、2組に分かれたノックアウト形式のセッション後にデュエル形式のタイムアタックが行われ、タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチームのパスカル・ウェーレインがポールポジションを獲得。2番手にはニッサン・フォーミュラEチームのオリバー・ローランドがつけた。 なお、1年前シーズン10でのサンパウロE-Prixでもポルシェのウェーレインがポールを獲得していたが、今回は2.938秒も短縮しており、『GEN3 EVO』の性能向上が結果で証明されたかたちだ。 そして現地時間14時より、31周の決勝レースへ向けてグリッドに整列。しかし、一度始まりかけたレースは、ロビン・フラインス(エンビジョン・レーシング)のシステムトラブルによって一時中断となり、マシンを移動させてから全21台のレースがスタートした。 シーズン11開幕のホールショットは、2番グリッドからインに飛び込んだローランドが奪取。その後ろからポールのウェーレイン、マキシミリアン・ギュンター(DSペンスキー)と続くオープニングラップとなる。 2周目には、もっともタイトなターン6にてジェイク・ヒューズ(マセラティMSGレーシング)とニコ・ミューラー(アンドレッティ・フォーミュラE)が接触によってクラッシュ、セーフティカー(SC)が導入された。この間、ルーキーのテイラー・バーナード(ネオム・マクラーレン・フォーミュラEチーム)が一度ピットインを選択し、タイヤを交換して最後尾にダウンしている。 レースは6周目に再開。ローランドがふたたび逃げ始めたなか、いち早くアタックモードを使用したニック・キャシディ(ジャガーTCSレーシング)が、9番手からぐんぐんとポジションを上げて8周目にトップに立った。 また11周目には、ニッサンのパワートレインを使うノルマン・ナト(ニッサン・フォーミュラEチーム)、サム・バード(ネオム・マクラーレン・フォーミュラEチーム)、テイラー・バーナード(ネオム・マクラーレン・フォーミュラEチーム)の3台に対して『オーバーパワー』の裁定が下り、ドライブスルーペナルティが課されることになる。 そして、続く12周目でローランドがアタックモードを使用し、キャシディを抜いてふたたびトップに返り咲く。以降は、『GEN3』時代のシーズン10時よりも2秒以上速いペースでの周回となり、アタックモードに入った選手らが首位を奪い合う激しい展開に。 しかし、アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム)がトップに立った20周目に、ジェイク・デニス(アンドレッティ・フォーミュラE)がマシントラブルで停止し、赤旗中断となった。 30分の中断を経て、ダ・コスタとローランドがフロントロウに並んでレースは23周目から再開。ローランドが最初のスタート時と同様にスタートを決め、トップを奪っていく。 その後は、アタックモードを使い切ったローランドがペースを上げてリードを守るなか、ジャガーのキャシディやエバンスが最後のアタックモードを使って一気にツー・スリーまでポジションを上げた。 しかし残り4周の終盤で、トップのローランドに対して『オーバーパワー』の裁定が下り、ドライブスルー・ペナルティが課せられてしまった。 これで、後ろに2台で控えていたジャガー勢がリードを手にし、キャシディを抜いたミッチ・エバンスが首位に。ここから、チェッカーへ向けて全車がスパートをかけはじめたところで、キャシディとウェーレインがサイド・バイ・サイドのままタイトコーナーに入ったことで2台は激しく接触してしまった。 キャシディ車のフロントタイヤに乗り上げたウェーレインのマシンは、サイドからウォールにヒットして横転。最終盤となっていたレースは2度目の赤旗中断となる。 ウェーレインの安全確認やマシン回収を終えた約30分後、レースは残り4周で再開となりスプリント対決へ。首位のエバンスはペースをかなり遅らせながら主導権を握るリスタートを決め、ダ・コスタの猛プッシュを退けてトップチェッカーを受けた。僅差の3位に入ったのはマクラーレンのバーナードとなり、20歳のルーキーが初表彰台を手にした。 いよいよ開幕したフォーミュラE“シーズン11”。続く第2戦『メキシコシティE-Prix』は、メキシコにあるアウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスにて、1月11日(土)に開催される予定だ。 ■2024/2025年フォーミュラE第1戦『サンパウロE-Prix』 順位結果 Pos./No./Driver/Team/Time / Gap 1/9/M.エバンス/ジャガーTCSレーシング/1h45’14.758 2/13/A.F.ダ・コスタ/タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム/+0.384 3/5/T.バーナード/ネオム・マクラーレン・フォーミュラEチーム/+0.844 4/8/S.バード/ネオム・マクラーレン・フォーミュラEチーム/+1.158 5/48/E.モルタラ/マヒンドラ・レーシング/+1.800 6/21/N.デ・フリース/マヒンドラ・レーシング/+2.640 7/16/S.ブエミ/エンビジョン・レーシング/+2.997 8/33/D.ティクトゥム/クプラ・キロ/+3.683 9/25/J-E.ベルニュ/DSペンスキー/+4.216 10/2/S.バンドーン/マセラティMSGレーシング/+4.779 11/7/M.ギュンター/DSペンスキー/+5.093 12/22/Z.マローニ/ローラ・ヤマハABTフォーミュラEチーム/+6.212 13/17/N.ナト/ニッサン・フォーミュラEチーム/+7.174 14/23/O.ローランド/ニッサン・フォーミュラEチーム/+11.385 15/37/N.キャシディ/ジャガーTCSレーシング/1Lap 16/1/P.ウェーレイン/タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム/6Laps 17/3/D.ベックマン/クプラ・キロ/6Laps 18/27/J.デニス/アンドレッティ・フォーミュラE/16Laps 19/11/L.ディ・グラッシ/ローラ・ヤマハABTフォーミュラEチーム/30Laps 20/55/J.ヒューズ/マセラティMSGレーシング/34Laps 21/51/N.ミューラー/アンドレッティ・フォーミュラE/34Laps 22/4/R.フラインス/エンビジョン・レーシング/Not started ※リザルトは編集部集計 [オートスポーツweb 2024年12月08日]